不動産の権利証をなくしても所有権は安心!紛失時の対応と注意点
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権利証とは?
「権利証を無くしてしまったらどうしよう」と不安に思う方は少なくありません。
かつて登記完了時に法務局から交付されていたのが「登記済権利証」、現在は12桁のパスワード形式の「登記識別情報通知」がそれにあたります。
不動産の所有権を証明する大切な書類と思われがちですが、実際には「権利そのもの」を証明するものではなく、登記手続きの際に本人確認資料として利用される位置づけです。
権利証をなくしても所有権は失われない
まず知っておきたいのは、権利証を紛失しても所有権を失うことは一切ない、という点です。
不動産の所有権は登記簿に記録されており、法務局で誰でも確認可能です。
そのため、権利証がなくなったからといって、第三者が勝手に所有権を移転できるわけではありません。
権利証が必要になる場面
権利証は日常的に使うものではなく、次のような登記に関わる取引時に必要となります。
- 不動産を売却するとき
- 抵当権設定など、融資を受けるとき
- 贈与や相続による名義変更をするとき
つまり、普段は出番が少なく、重要な取引のタイミングで求められる書類です。

紛失したときの対応方法
権利証を紛失した場合、そのままでは登記手続きができません。代わりに「本人確認情報」などの代替手段を用意する必要があります。主な方法は次の通りです。
- 本人確認情報制度の利用
司法書士に依頼し、司法書士が面談・確認を経て作成する「本人確認情報」を添付すれば、権利証がなくても登記が可能です。これが最も一般的な方法であり、費用は司法書士報酬として数万円から十数万円かかります。 - 公証人による認証制度の利用
場合によっては、公証人役場で本人確認を受け、公正証書を作成することで代用できるケースもあります。ただし、実務上は司法書士に依頼する方法が主流です。 - 事前通知制度の利用
登記申請後に法務局から登記名義人に郵送で確認書類が届き、それに署名・押印・返送する方法です。費用は抑えられますが、返送が遅れると登記が却下されるリスクがあり、また第三者によるなりすましを防ぐ観点から慎重に取り扱われています。
相続の場合の対応
不動産を相続する際に被相続人の権利証を紛失している場合でも、相続登記は戸籍謄本や遺産分割協議書を揃えることで可能です。この場合は権利証は不要となるため、特別な手続きは必要ありません。
紛失後の注意点
権利証は再発行できないため、紛失に気づいた時点で以下の点に留意しておくと安心です。
- 将来の登記手続きに備えて司法書士に相談しておく
- 悪用リスクは低いが、必要に応じて金融機関などに伝えておく
- 火災・盗難・水害などを想定した安全な保管方法を検討する
まとめ
不動産の権利証を紛失しても、所有権を失うことはありません。
ただし、売却や担保設定などの際には代替手続きが必要になり、司法書士に依頼するのが一般的です。
普段はあまり使わない書類だからこそ、保管場所をきちんと管理し、いざという時のために専門家へ相談しておくことが大切です。