家賃高騰の中「築古・アパート」市場も好調!

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現在、東京都内を中心とする首都圏の賃貸市場は、転換期を迎えていると言えるでしょう。長引く物価の上昇や、建築資材費および人件費の高騰を背景に、賃貸住宅の家賃水準は全体として上昇傾向にあります。
このような状況下で、新たに住まい探しを行う方々はどのような行動をとっているのでしょうか。毎月の固定費である家賃負担の増加は切実な課題であり、少しでも家賃を抑えようと、これまでとは異なる視点で物件を選ぶ人が増えているのが現状です。

本コラムでは、市場の変化の中で注目を集める「築古・アパート」市場の動向と、今後の賃貸経営に向けた具体的なヒントを解説いたします。

家賃高騰で変わる? 2025年の「お部屋探し」最新事情

不動産情報サービスを展開するアットホーム株式会社が発表した「2025年の賃貸市場における4大ニュース」というレポートにおいても、「家賃の高騰」は注目すべきトピックの一つとして取り上げられました。
このレポートで注目すべき点は、単に家賃が上がったという事実だけではありません。家賃の高騰をきっかけに、部屋を探す人たちの「住まい選びの基準」が変化し始めているという側面が見て取れます。

2025年のお部屋探し最新事情

築古物件にも波及する家賃上昇の動き

市場全体で家賃の上昇が進むなか、これまで値動きが緩やかだった築年数の経過した物件にも明らかな変化が生じています。
具体的には、築30年を超える「築古」物件の家賃は、2024年までは大きな変動を見せずほぼ横ばいで推移してきました。しかし、2025年に入り市場全体の平均家賃が10万円の大台を突破したことで、予算を抑えたい層の需要が築古物件にも波及。その結果、かつては安価に借りられた築古物件においても、家賃の上昇幅がこれまで以上に大きくなりつつあるという局面を迎えています。

「安いから」だけじゃない! 築古&アパートが選ばれる理由

選ばれる理由は「家賃が安いから仕方なく」という消極的な妥協だけではありません。市場のニーズを適確に捉えた物件側の進化により、築古やアパートは「積極的な選択肢」として再評価されるようになっています。

「アパート=不便」は過去の話? 進化する住み心地

一般的にアパートの家賃はマンションと比較して2割から4割程度安く設定される傾向にありますが、近年は建築技術の向上により、居住空間としての快適性が向上している物件も増えています。
インターネット上の物件情報に対する「反響率」においても、アパートの数値は2024年と比較して上昇。実際の住み心地と毎月の支出を冷静に比較検討した結果、アパートを有力な候補に据える人が増えているのです。

リノベーション物件
古さを「個性」に! 若者を惹きつけるリノベーション

築古物件に関しても同様の価値観の転換が見られます。築30年、40年といった物件であっても、適切にリノベーションが施された空間は、画一的な新築にはない独特の魅力があります。

レトロな外観の趣を活かしつつ、水回りの刷新やテレワーク対応デスクの設置など、現代のライフスタイルに合わせた工夫を凝らした部屋は、若年層を中心に支持を集めるようになりました。「自分らしいこだわりのある空間で暮らしたい」というニーズと合致し、単なる「古い部屋」ではない「個性的で賢い選択肢」として定着しつつあります。

オーナー様へ、設備投資と管理のヒント

物件を所有し経営されるオーナー様にとって、こうした市場の変化は今後の経営に活かせるポイントとなるでしょう。具体的に二つの視点を整理します。

ポイント1. 手頃な家賃設定という強みを活かす

一つ目は、低家賃物件には根強い需要がある、という点です。無理をして背伸びをするのではなく、身の丈に合った堅実な生活を志向する人々にとって、家賃設定を抑えた物件はそれだけで「募集力」を持つことになります。適切な価格設定が行われていれば、築年数や建物の構造にかかわらず、安定した運営を期待できるはずです。

ポイント2. 小さな工夫で「価格競争」から抜け出す

賃貸経営において避けたい事態は、最終的に家賃を値下げすることでのみ入居者を獲得しようとする「価格競争」に陥ることです。家賃の引き下げは長期的な収益を圧迫するため、多額の費用をかけずとも実現可能な付加価値の向上が求められます。

募集力を高める具体的な付加価値向上策
  • 第一印象の改善:共用部の清掃徹底や、照明の明るいLEDランプへの交換。
  • 人気設備の導入:モニター付きインターホン、温水洗浄便座、インターネット無料化。
  • 契約条件の柔軟な見直し:敷金・礼金ゼロ設定や、フリーレントの導入。

こうした低家賃物件への注目は、無理のない範囲で自分らしく暮らしたいという、入居者の価値観の変化を映し出しています。
家賃設定の見直しや、無理のない範囲での設備更新など、物件の魅力を引き出す工夫の積み重ねが、これからの賃貸経営を支える要素となります。弊社では、物件ごとの良さを活かした募集戦略をご提案し、安定した経営をサポートしてまいります。

この記事を書いた人

五十嵐 裕也 宅地建物取引士 ・既存住宅アドバイザー

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