【管理会社が解説】賃貸物件で水漏れが発生しやすい場所と対処法

  • 賃貸管理

水漏れは、賃貸物件の不具合や修繕の中でも、特に原因の特定と修繕が難しいトラブルです。また、入居者様とオーナー様双方に大きな影響を及ぼすため、早急な対応と水漏れを根本的に防ぐことが求められます。
今回は、特に水漏れが発生しやすい箇所や当社の管理物件であった漏水事例、そして水漏れに効果的な対策をご紹介します。

水漏れが発生しやすい箇所

天井の排水管・給水管

一つ目は、排水管や給水管は、経年劣化によって亀裂や接続部分の緩みが生じると、その部分から水漏れが発生し、天井裏などに広がって被害が大きくなることがあります。
現在、直近10年位建てられたマンションでは、排水管に硬質塩化ビニル管(通称:塩ビ管)、給水管に合成樹脂管が使用されています。 しかし、築30~35年前後の古いマンションでは鋳鉄管やライニング加工(錆止め)が施された管が用いられており、これらは金属のため、経年劣化や腐食によって水漏れが発生しやすくなります。

外壁のクラック・防水施工部分

二つ目は、外壁や防水塗装などの劣化による水漏れです。
RC(鉄筋コンクリート)マンションでは、経年による外壁の劣化や防水塗装の劣化が見られ、その劣化部分から雨水が染み込んでコンクリート内を通し、内部に漏水することがあります。

一般的には、以下のケースが多く見られます。

  • 外壁のクラック(亀裂部分)からの水漏れ
  • 屋上の防水塗装の劣化
  • 居室の窓枠・タイル部分の防水シール剤の劣化
  • バルコニー床面の立ち上がり部分の劣化
キッチンの排水管をチェックしている業者

その他、入居者の過失による水漏れ

三つ目は、居住者の使用上の過失などによる水漏れが挙げられます。
たとえば、浴室の水栓を止め忘れたことで、浴槽から水が溢れたり、排水管が詰まって水が流れなくなったりする水漏れがあります。
入居者の故意・過失による水漏れが発生した場合は損害賠償請求をされる可能性もあります。
特に、洗濯機置き場の排水口と洗濯機の排水ホースの接続が外れることによる水漏れは、階下への水漏れにまで発展するケースが多いので注意が必要です。

管理会社の水漏れトラブル事例

次に、当社が管理している物件で水漏れのトラブルを、ご紹介します。

排水ドレンのつまりから屋上ルーフがプール状態に!?

このケースでは、連日降り続いた雨の影響で、屋上のルーフ部分に雨水が溜まり、窓枠部分や外壁部分が水没・屋内が浸水状態に。その結果、居室の床部分と壁部分に水が浸透し、水漏れが発生しました。

通常、雨水は屋上部分にある排水ドレンから雨どい(建物の外壁にある排水管)を通って排水されます。
ただ今回は、排水ドレンが経年で溜まった砂や土などによって完全に詰まっており、排水ができない状態となっていました。そのため、ルーフ部分に降り続いた雨がプール状に溜まり、浸水してしまいました。
共用部分やバルコニー部分の排水ドレンは、雨や風で落ち葉やゴミ、土砂が溜まりやすく、今回のケースのように排水ができない状態になることが多いです。そのため、定期的に確認と清掃を行う必要があります。特に台風や梅雨の時期は、事前に清掃・確認を行うことが大切です。

掃除されていない排水ドレン

浴室扉からの水漏れ

次に、浴室の扉部分から漏れた水が、洗面所の床下に漏れ出し、階下へ漏水したことがありました。
一般的に、浴室の給湯水栓の止め忘れなどによって水が浴室外に流れ出し、下の階に水漏れしてしまうケースは多いです。
今回のケースでは、入浴時に使用しているシャワーなどの水が、浴室の扉の隙間から漏れ出て、結果的に洗面所に漏れ出し、階下まで水漏れが発生しました。
通常、浴室の扉には枠と扉の間に水漏れ防止や隙間を埋めるパッキンなどが施されており、水が浴室外に漏れるのを防止してくれます。 しかし、経年劣化などにより隙間が広がると、浴室外に漏れ出してしまう場合があるので、入居前も必ずチェックし、住む期間が長くなる場合は入居者自身での確認も必要になります。

賃貸マンション・アパートで水漏れが発生したら?対処法は?

水漏れはいつ、どのような状況で発生するか予測ができず、誰でも被害者になったり、加害者になり得るトラブルです。
それでは、もし漏水が発生した際にどのような対応が必要かを、それぞれの状況ごとに見ていきましょう。

水漏れ発生時

水漏れの被害者側

  1. 水漏れが発生したら、まずは発生箇所を確認し、写真で記録を残す。
  2. 天井の場合は、すぐに上階を訪問し、住んでいる方へ状況を伝えて確認を依頼する。
  3. 家財が漏水で濡れたり汚損した場合には、状況を写真とメモなどで記録する。

漏水の発生について訴えられた側

1.まずは、キッチンシンク下・洗面所収納内の排水管・洗濯機の防水パン・洗濯ホース・浴室など、漏水の疑いがある箇所を確認する。
2.水道メーターの栓を締めても漏水しているか確認する。

原因調査

水漏れ発生時は、確認・対応と同時に、建物を管理している管理会社へ状況の報告と問い合わせを行いましょう。 その後、管理会社によって水漏れ箇所の原因調査・修理・復旧工事へと進んでいきます。

修理・復旧後

復旧後は、水漏れによる損害について、原因箇所・内容によってそれぞれ損害の賠償や保証の手続きを取ります。
水漏れの原因が上階の入居者の過失にある場合は、第三者への損害賠償として個人賠償責任保険を適用して下の階の入居者への損害賠償の対応をします(※加入している保険の内容によります)。 また損害を被った側は、発生時に記録した汚損箇所や家財の写真・記録を元に、損害保険金の申請を加入している保険会社へ申請します。

また、水漏れの原因箇所の部分でも解説したとおり、建物自体や設備の経年劣化等が原因の水漏れによって居住者が損害を被った場合には、建物の所有者がその補償をする必要があります。
家財の補償だけでなく室内の大規模な復旧工事が必要になり、一時的に仮住まいの提供や移動費用などを補填しなければならないケースも多いため、物件の所有者は不測の事態に備えておく必要があります。
水漏れ対策は、普段から設備・建物の維持管理を行い、漏水の原因になりそうなところをあらかじめ取り除くことで、問題が発生しないようにすることがとても重要です。 また、実際被害が起きてからだと、バタバタしてしまうので、賃貸オーナー向けの建物保険や施設賠償責任保険等の内容を、しっかり確認・把握しておきましょう。

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この記事を書いた人

田井 捺記 宅地建物取引士・既存住宅アドバイザー・消防設備士乙種第4類

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