その土地、本当に大丈夫? 購入前に知るべき権利の話

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最近、「賃貸物件の家賃が突然上がった」というニュースを目にする機会が増えました。実際には、賃貸住宅の家賃改定には法律で定められたルールがあり、オーナーが自由に値上げできるわけではありません。
こうした話題から、住まいや不動産には“見えにくい権利関係”が深く関わっていることに気づく方も多いのではないでしょうか。そしてそれは、家を「借りる」ときだけでなく、「買う」ときにも同じです。
特に土地付き住宅や土地のみを購入する場合は、「その土地にどんな権利が付いているのか」を把握しておくことがとても重要。今回は、不動産購入前に知っておきたい「土地の権利」の基本をわかりやすく解説します。

土地にもさまざまな権利がある

物件の販売図面などには「土地の権利:所有権」「借地権」といった表記があります。これは、その土地をどこまで自由に使えるかを示す重要な情報です。
主な権利の種類は以下の通りです。

権利の種類 内容
所有権 土地を自由に使用・処分できる最も強い権利。特に表示がなければこれを指します。
賃借権(借地権) 他人の土地を一定期間借りて利用できる権利。住宅は建てられるが、契約内容や更新条件に注意が必要。
地上権 借地権に似ているが、登記すれば第三者にも対抗でき、より独立性の高い権利。
抵当権 土地に担保が設定されている状態。返済が滞ると競売にかけられる可能性がある。
地役権 他人の土地を通行したり、水を通したりするための権利。敷地に設定されていることもある。

ややこしく見えますが、「その土地に利用や処分の制限があるか?」という視点で見ると理解しやすくなります。

「所有権=安心」とは限らない

不動産を購入する際は、まず法務局で取得できる「登記簿」を確認しましょう。
登記簿には主に次の3つの情報があります。

  • 表題部(表示登記):建物の構造や床面積など
  • 甲区:所有者情報や過去の名義変更履歴
  • 乙区:抵当権など所有権以外の権利関係

特に乙区には「住宅ローンの担保」や「差押え」などの記録がある場合があり、購入前に必ずチェックする必要があります。

登記簿に載らない「見えない権利」もある

注意すべきは、すべての権利が登記簿に記載されているわけではないという点です。
たとえば…

  • 借主が住んでいる物件では、登記がなくても借家権を主張される可能性がある
  • 所有者と名乗る人物が実は「地面師」だったという詐欺事件も存在する

「登記簿を見れば安心」と思って購入してしまうと、後から「その家に住めない」などのトラブルになることもあります。

購入前はプロと一緒に権利を確認

土地や建物の権利は外見からでは分かりません。「本当の所有者は誰か」「他人の権利が入っていないか」などを事前に確認することで、将来のトラブルを防ぐことができます。
不動産契約は人生の大きな決断です。登記簿の読み解きや権利関係の調査は、不動産のプロと一緒に進めることが安心への近道。気になる物件を見つけたら、まずは「この土地、本当に大丈夫かな?」と一言、プロに相談してみてください。
私たちは、権利の面からも“安心して住める家選び”を全力でサポートします。

この記事を書いた人

高島 由衣 宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー