なぜ今、平屋が人気なのか?

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ここ数年、住宅広告やSNSで「平屋」という言葉をよく見かけるようになりました。雑誌の特集や住宅展示場でも、以前より平屋の取り扱いが増えているのを感じる方も多いのではないでしょうか。
実は筆者の自宅も平屋です。子どもたちが独立し、夫婦二人のこれからの暮らしを考えたとき、生活のしやすさを重視して平屋を選びました。結果として、毎日の動線がシンプルになり、家の中でのストレスが驚くほど減ったと実感しています。
では、なぜ今、平屋が注目されているのでしょうか。その理由を掘り下げてみましょう。

平屋が流行している理由

バリアフリーで安心

階段がないため移動が楽になり、転倒リスクも減らせます。高齢のご両親と同居する家庭や、小さなお子さんのいる世帯にとっても安心です。今後ますます進む高齢化社会の中で、「将来を見据えて平屋を選ぶ」という人が増えているのも頷けます。

生活動線がシンプル

ワンフロアで生活が完結するため、家事や移動が効率的。洗濯物を干す・片付ける・料理をする・掃除をするなど、毎日の動作が一つの階で済むのは想像以上に快適です。特に忙しい子育て世代にとっては、家事の時短にもつながります。

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メンテナンスがしやすい

外壁や屋根の点検・修繕も、2階建てに比べて作業がしやすく、費用も抑えられる場合があります。長期的に見ると住宅維持コストに差が出るのは大きなメリットです。

開放感のある空間

平屋は天井を高くしたり、庭とつながる大きな窓を設けたりすることで、広々とした居住空間を楽しめます。外と内の一体感が出やすく、季節の移ろいを身近に感じながら暮らせる点も人気の理由です。

家族のコミュニケーションが増える

生活空間が同じフロアに集約されるため、自然と家族が顔を合わせる機会が増えます。子どもが自室にこもりきりになることが少なく、「ただいま」「おかえり」といった日常のやりとりが生まれやすいのも平屋ならではです。

地震や台風に強い

建物の重心が低いため、構造的に安定しやすいのも特徴です。災害時の不安を軽減できることは、多くの人が住宅選びで重視するポイントになっています。

デザイン性の高さ

近年は「シンプルでスタイリッシュな平屋」が増えています。平屋はかつて「昔ながらの住まい」というイメージを持たれることもありましたが、今は洗練されたデザインの住宅が多く、若い世代からの支持も広がっています。

土地の有効活用

広い土地を必要とする反面、庭や駐車スペースをゆったり確保できるのも魅力です。アウトドアリビングや家庭菜園を楽しみたい人にとっても、平屋は理想的な選択肢といえるでしょう。

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快適に暮らすために!知っておきたい平屋の特性

平屋には「暮らしやすさ」「安心感」「デザイン性」など数多くの魅力があります。その一方で、土地や建築コスト、プライバシーの工夫といった課題も。ここでは、平屋のメリットとデメリットを並べてご紹介します。両面を理解したうえで、自分のライフスタイルに合った住まいを考えてみましょう。

メリット
  • 上下移動がなく暮らしやすい
  • 家族同士のつながりを感じやすい
  • 間取りやデザインの自由度が高い
  • 耐震性能が高い
  • 中庭を取り入れた設計が可能
  • 外部メンテナンスのコストを抑えられる
デメリット
  • 広い土地が必要になる
  • 建築コストが割高になることがある
  • 間取りに工夫が必要な場合がある
  • 水害リスク(浸水や海抜の確認)が欠かせない
  • 防犯対策をしっかり行う必要がある
  • プライバシー確保に工夫が必要

メリットとデメリットを比べると、平屋は「日々の暮らしやすさ」と引き換えに「土地や設計の条件」をしっかり吟味する必要があることが分かります。大切なのは、家族の人数や将来のライフステージを考えながら、無理なく快適に暮らせるかどうか。事前に十分な検討を重ねれば、平屋は長く安心して暮らせる住まいとなるでしょう。

平屋を計画するときに気をつけたいこと

  • 土地選び
    広さだけでなく、形状・方位・地盤・浸水リスクも要確認。特に水害リスクはハザードマップなどで事前に確認することが大切です。
  • 間取りの工夫
    洗濯物を干す場所は課題になりやすいため、テラスやサンルームを設けるケースが多いです。また、リビングを中心に各部屋を配置する「回遊性のある間取り」も人気です。
  • プライバシーへの配慮
    外部からの視線を遮る工夫は欠かせません。コの字型・ロの字型の間取りや、中庭を設ける設計はその代表例です。採光と風通しを確保しながらプライバシーを守ることが可能です。

快適な平屋ライフのために

平屋には数多くの魅力がある一方で、土地や設計における注意点もあります。ライフスタイルや家族構成、将来の暮らし方を見据えて検討すれば、平屋は「長く快適に過ごせる住まい」となるでしょう。
特に「子育て世代」「二人暮らしの夫婦」「セカンドライフを楽しみたい世代」にとって、平屋は大きな選択肢になりつつあります。暮らしの質を重視する今の時代にこそ、平屋人気が高まっているのです。

この記事を書いた人

高島 亮 宅地建物取引士 ・住宅ローンアドバイザー ・既存住宅アドバイザー