ご存知ですか?室内エアコンの仕組み
- 賃貸管理
近年、まれに見る夏の猛暑や冬の大寒波など、心身ともに疲労疲弊されている方も多いのではないでしょうか?
これは地方に限った話ではなく東京都心にもあてはまり、夏冬共にエアコンを使う頻度は増える一方です。
今や各家庭や賃貸物件に当たり前にあるエアコン。
しかし生活する上で身近なものと言えど、この「エアコン」の仕組みについて説明できる方は少ないのではないでしょうか?
今回はエアコンの基本的な仕組みとよくあるトラブルについて、その構造、仕組みとともに解説していきます。
空気はいかにして暖かくなるか・冷たくなるか
冬は冷たい空気をエアコンを通すことで暖かくする、夏は熱い空気をエアコンを通すことで冷たくして排出する、というものがエアコンの基本的な仕組みとなっています。
では一体どのようにして空気の温度を調整しているのでしょうか?
もともと空気は熱を保有おり、暑い季節の空気の中にはこの熱が多く含まれています。対する寒い季節の空気には熱があまり含まれていません。
夏にエアコンをつけた際に部屋が涼しくなるのは、エアコンによって空気中に含まれている熱の量を下げ、冷たい風を排出をしているからです。
冬はその逆で、エアコンによって空気中に多くの熱を取り込むことによって温かい風を排出しています。
エアコンの仕組み
エアコンの仕組みの中で特に重要なものが、「冷媒」「熱交換器」「コンプレッサー」の3つです。
冷媒
冷媒とは、冷蔵庫やエアコンなどの機器の中で、熱を温度の低い所から高い所へ移動させるために使用される、流体の総称です。エアコンの室内機と室外機は、この冷媒で満たされている冷媒管と言われる管で繋がっています。
冷房の場合は室内の空気を室内機側で取り込み、空気の熱のみを冷媒が受け取り運搬し、外の室外機から排出します。熱を切り離した空気は室内機から冷たい風として排出され部屋全体が涼しくなります。
暖房の場合はその逆で、室外の空気を取り込み、冷媒によって熱をのせ、温かい空気を室内へ排出することによって部屋全体を温めます。
熱交換器
熱交換器とは、取り込んだ空気の熱を冷媒に載せたり、冷媒から切り離したりする役割を持つ機器です。室内機・室外機両方についています。
コンプレッサー
コンプレッサーは、通称「圧縮機」と呼ばれるもので、冷媒ガスを圧縮する役割を持つ機器です。圧縮された冷媒ガスは熱を帯び高温となります。
冷房運転の場合、室内機から取り込んだ空気を冷たくし、熱を室外機から排出するためにコンプレッサーで圧縮して高温にします。暖房運転の場合は室外機から取り込んだ外気を暖かくして室内に排出するために、圧縮、高温にして熱を作り出します。
エアコントラブル3選
日々入居者様からいただく設備の修繕・トラブルの大半が、次の3点を原因とした水漏れです。
①温かい空気が出てこない・冷たい空気が出てこない
温かい空気や冷たい空気が出てこない現象、いわゆるエアコンの効きが悪い原因は、主に冷媒ガスの不具合です。熱を運ぶ冷媒ガスが漏れることにより、冷媒管の中の冷媒ガスが不足して熱交換がうまくできず、効きが悪くなります。
また、コンプレッサーの故障も原因の一つにあげられます。この場合は、冷媒ガスの再充填やコンプレッサーの修理を行い、冷媒の働きを改善させます。
②エアコンからの水漏れ
夏の季節、エアコンの使い始めに特に多いトラブルがエアコンからの水漏れです。冷房運転の場合、当然温かい空気の温度が下がるので、熱交換器付近では結露が発生します。本来その水がエアコンに接続されているドレンホースを通って室外に排水されますが、ドレンホースがつまっていると水が排出できず、室内機側に逆流して水漏れが起きてしまいます。
他にも、ドレンホースの逆勾配という原因があります。
ドレンホースと壁との貫通部分が上向きの状態で逆勾配となっているため、水が自然と排水されず、滞留して室内機側に逆流してしまうのです。この場合、勾配が正勾配(高い位置から低い位置へ水が流れる角度)になるように施工しなおす必要があります。冷房運転をしているのにバルコニーのドレンホースから排水が微量もしくは全くされない場合はこのケースが多いです。
③エアコンからの異音
エアコンからポコポコ音が聞こえる、流水音が聞こえるなどのご相談も多く頂きます。
近年、賃貸物件は高気密な住宅が多いため、窓を締め切った状態で換気扇を作動させると、エアコンから異音がすることがあります。
これは換気扇の作動によって排気が促進され、室内の気圧が下がる(負圧という)のに対して、エアコンのドレンホースを通して外気を取り込もうとする空気の流れが発生する(正圧)ためです。
そして、ドレンホースの水の流れに空気がぶつかることにより音が発生します。
これは窓を少し開けたり、室内の換気口を少し開放する事によって改善します。また、空気の逆流を防ぐエアカットバルブと呼ばれる部品をドレンホースに取り付けることによって、音を低減させることができます。
修理or交換 どちらがよいのか?
結論、製造から10年を経過したエアコンについては、不具合が発生したかどうかに関わらず交換を推奨しています。それは下記の2つのポイントから言えます。
標準使用期限とメーカー修理対応の関係
エアコンの10年という耐用年数・設計上の標準使用期間とは、運転時間や温度、湿度などの使用における諸条件に基づいて、日本産業標準調査会(JISC)が設けた、安全に使用できる期間を指します。東京の場合は下記の使用条件を想定して設定されています。
冷房使用時
室外温度が35℃で室内温度を27℃に設定時。6月2日から9月21日までの112日間、1日あたり9時間(年間1008時間)運転した場合を想定。
暖房使用時
暖房使用時の室外温度が7℃で室内温度を20℃に設定時。
10月28日から4月14日までの169日間、1日あたり7時間(年間1183時間)運転した場合を想定。
近年は暑さ・寒さともに非常に厳しく、上記の想定使用条件とは乖離した環境下での使用により、劣化スピードが早くなったり、不具合が多く発生しています。また、エアコンメーカーにおいても製造から10年を目安に、故障の際の修理部品(補修用性能部品)の在庫保管を終了するところも多く、10年を経過したエアコンが修理ができなくなるケースも多くなっています。
機能的な側面
機能的に見ても10年前に発売したモデルと最新のモデルを比較すると、後者の方が圧倒的に性能が良くなっています。
一般的な賃貸物件に設置されている6畳用のスタンダードモデルであっても、性能や機能は10年前のものよりも更新され続けており、10年前にハイエンドモデルに搭載されていた機能が今では通常のエアコンに標準搭載されているなど、エアコン業界は日々刷新されています。
自動車の燃費が向上し、エネルギー効率がアップしているように、エアコンにおいても省エネ性能が向上し、消費電力量の削減・電気代の削減が図られているため、エアコンの交換は賃貸物件の借主側にとってもメリットがあります。