家賃上昇局面で見直したい“更新時の賃料”について

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新規募集賃料は上昇、更新賃料は見直しが進みにくい

近年の東京の賃貸市場では、新規募集賃料の上昇が続いています。
特に23区を中心に、単身者向け・ファミリー向けを問わず、多くのエリアで募集家賃が過去最高水準に達しており、賃貸需要の底堅さが感じられる状況です。
この背景には、若年層の都市部回帰や外国人入居者の増加があります。加えて、分譲価格の高騰により「購入ではなく賃貸を選ぶ層」が増えていることも、賃料上昇を後押ししています。エリアによっては、昨年と比べて大きく賃料が上昇しているケースも見られます。
一方で、更新時の継続賃料については、募集賃料ほど明確なデータが出回っていないのが実情です。契約条件や入居者属性、物件ごとの事情によって判断が分かれるため、統計として見えにくい領域になっています。

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更新賃料が「据え置き」になりやすい理由

更新時の賃料については、「長く住んでもらっているから」「トラブルを避けたいから」といった理由で、相場を確認しないまま据え置かれているケースも少なくありません。
しかし、市場環境が変化している中で、募集賃料と更新賃料の差が大きくなりすぎると、本来得られるはずの収益機会を逃してしまう可能性があります。更新賃料は見えにくいからこそ、意識的に確認する姿勢が重要になります。

更新時に確認したい賃料判断のポイント

更新時の賃料を検討する際は、いくつかの視点を組み合わせて判断することが大切です。周辺の募集賃料と現在の賃料との差、物件の築年数や設備水準、管理状態などは、基本的な判断材料になります。
あわせて、入居者の属性や居住年数、住み替えの可能性なども考慮する必要があります。これらを総合的に整理することで、無理のない範囲での賃料見直しが検討しやすくなります。

賃料増額は「慎重に、でも前向きに」

無理な賃料増額は、退去につながるリスクがあるため注意が必要です。ただし、現在は空室リスクが比較的低い市況であり、条件が整っていれば、一定の増額が受け入れられるケースも増えています。
重要なのは、「必ず上げる」ことではなく、「今の市場環境で適正かどうか」を見極めることです。更新というタイミングは、賃料を見直す自然な機会でもあります。

更新賃料の見直しが資産価値維持につながる

募集家賃が上昇している今、更新時の賃料を適切に見直すことは、賃貸経営の安定性や資産価値の維持に直結します。短期的な収益だけでなく、長期的に安定した運用を考えるうえでも重要なポイントです。
ウィル・ビーでは、周辺相場や過去の募集実績、入居者動向などを踏まえ、オーナー様ごとの状況に合わせた更新賃料の考え方をご提案しています。今後も市場データを丁寧に分析しながら、賃貸経営をサポートしてまいります。

この記事を書いた人

五十嵐 裕也 宅地建物取引士 ・既存住宅アドバイザー

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