登記の変更に必要な書類と登記事項について

  • 売却

売買代金の決済日になったら、売買代金を受け取り買主に不動産を引き渡し、所有権移転登記を行います。 そのときに登記事項に変更があれば、所有権移転登記の前提として変更事項を登記記録に反映させなければなりません。
変更事項の中でもよくある住所変更と、その際に必要な書類と登記事項について、この記事で解説いたします。

登記記録の構成主要部は3つ

登記記録は、3つの主要部分とその他の記録事項に分かれています。

  • 表題部
  • 甲区
  • 乙区
  • その他 共同担保目録・信託目録など

表題部

表題部には、土地や建物のある場所・地番・面積や用途などが記録されています。 土地についての変更は、例として畑を宅地に変えるなど用途を変更している場合の変更登記や、売却前に分筆や合筆をする場合があります。
建物については、増改築・一部取り壊し・建物を取り壊した場合に、その変更・滅失登記を申請することがあります。
自分がその土地や建物を利用しているときは変更登記までする必要がないため放置してしまうことが多いのですが、買主が住宅ローンを利用する場合などに、金融機関から変更登記をするように要求されることが多いです。

甲区

甲区には、所有者などの情報が記録されます。
所有者の住所・氏名に変更がある場合や、所有者が亡くなって相続が開始している場合には、買主への所有権移転登記までに必ず変更登記を申請しなければなりません。

乙区

乙区には、担保権や賃貸借などの権利が記録されます。住宅ローンのための抵当権も乙区に記録される事項です。

登記の変更に必要な書類と登記事項について

住所・氏名の変更登記

相続登記は余裕を持って事前にしておくほうが良いのですが、住所や氏名が転居や婚姻・離婚などによって変更になっている場合は、売却による所有権移転登記と同時に変更することがよくあります。
住所・氏名の変更登記は、比較的簡単な申請なので自分で行うことも可能です。時間に余裕があれば、経験してみるのもおすすめです。

必要な書類

住所や氏名の変更登記には、変更した事項が記載されている住民票や戸籍を添付します。
住所変更の登記申請には、登記記録記載の住所から現在の住所まで連続して履歴が記載されている証明書が必要です。
例として、登記記録に出身地(A市とする)の住所が記録されている状態で、転勤などによってその後市区町村をまたがってB市→C市→D市と住民登録を変更した場合を想定してみましょう。
市区町村をまたがって転居したとき、現在の住まい(D市)の住民票を取得すると、住民票に記載されているのは直前に住んでいたC市の住所までで、それ以前のB市・A市の住所は記載されていません。
しかし、必要なのは「登記記録記載の住所(A市)から現在までのすべての住所の履歴」です。そのため、C市の役所または役場で住民票を請求し、さらにB市とA市で住民票を取得する必要があります。
A市の住所の住民票が必要なのは、不動産を取得した登記を記録した当時にその住所にいたことを証明するためです。ただし、このA市の住民票は不要とされる場合もあるため、事前に法務局か司法書士に確認すると間違いなく進められます。

※転居によって住民票は「除票」となり、役所・役場によっては記録を改製されることがあります。その場合は「除票」または「改製原の住民票」とよぶことがあります。

何度も転居していて、いくつもの役所・役場にあてて住民票を請求するのが大変な場合、本籍地の役場に対して「戸籍の附票」を請求するのも一つの方法です。
本籍地の役所・役場には、引越し先で住民登録をするとその役所・役場から通知が届きます。本籍地の役所・役場でも住所の記録が戸籍の附票として記録されているため、本籍地を変えていなければ一度の請求で済むので便利です。

住所・氏名の変更登記

住民票除票がないこともある

令和元年6月20日に住民基本台帳法が改正され、現在では住民票の除票や戸籍の附票の除票などの記録は除票になった後も150年間保存されることになりましたが、それ以前の取扱では除票の保存期間は5年間でした。
5年間の保存期間が過ぎてしまい、住民票の除票や戸籍の附票の除票を添付することができないこともあります。
そのような場合には、住所変更登記を申請する人が所有者本人に間違いないことを法務局にわかってもらう(証明するため)に、権利書(登記済証や登記識別情報)を提供したり、固定資産税の納付書を提出したりすることになります。

※5年間の保存期間が過ぎていても、役所・役場によっては証明書を発行してくれることもあります。該当の役所・役場に相談してみましょう。

除票になる原因は転居だけではなく、役所・役場が以前の記録を編綴替え(改製)している場合もあります。
住民情報を紙に記録していたころは、紙が古くなったときや記録が増えすぎたときに編綴替えをすることがありました。近年では紙の記録からコンピューターに記録媒体を変更するために改製され除票になっている例が多くあります。

登記記録の構成主要部は3つ

引っ越していないのに住所変更登記が必要な場合(住居表示変更)

役所・役場が町名変更をしたり住居表示を実施したりしていると、引っ越しをしていないのに住所変更登記が必要な場合があるので注意しましょう。
町名変更の場合は読み替えてくれるので変更登記はしなくてもよいのですが、地番に変更があるときは変更登記をしなければなりません。
住居表示実施とは、以前の住所が「1234番地56」となっているのを「1番5号」と変更するような例です。 引っ越しをしていなくても役所・役場の都合で変更されるため、この場合の登録免許税は非課税になります。 しかし、司法書士に依頼する場合は、司法書士報酬を支払う必要があります。

必要な添付書類は、住民票や住居表示実施の証明書、役所・役場から発送された住居表示実施の通知書のいずれかです。
通常役所・役場で呼称は変わるものの、住民票は「市民課」、住居表示実施の証明書は「地域課、地域振興課」と証明書を発行する係が異なっています
詳細は各役所・役場で確認しましょう。

司法書士報酬

変更登記申請を司法書士に依頼すると相場として、「1万円~2万円+実費(不動産1個につき1,000円の登録免許税+登記記録の調査費用)」を支払う必要があります。

変更登記申請は自分でもできる

住所・氏名の変更登記は、比較的簡単な登記なため自分でも申請が可能です。 法務局に申請してから完了まで1週間ほどかかるため、余裕をもって申請しましょう。 売買代金の決済当日には、売買を担当する司法書士は登記記録を確認します。
その時に登記記録が確認できなければ売買の決済ができなくなるため注意しましょう。

登記申請書様式は、以下の法務局のサイトから参照できます。

不動産登記の申請書様式について:法務局(外部サイトへ移動します)

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