築古賃貸物件をフルリフォームする理由は?

  • 賃貸管理

賃貸管理を行う中で、築40年以上の古いマンションの場合、どうしても空室リスクが高くなる傾向があります。
たとえ立地条件が良くても、施設自体が古かったり、内装なども最近の流行とはかけ離れていたりすると、借り手がなかなか見つからないことも。

今回は当社の管理物件で、そのような築40年程の古いマンションをフルリフォームする事例があったので、ご紹介します。

賃貸マンションをフルリフォームする様子

フルリフォームの背景

今回ご紹介するのは駅に近いいわゆる「駅チカ」物件で、入居者の方も10年以上と長い期間住んでいました。
これまで他の部屋は入居者が退去する度にリフォームをしてきたのですが、今回は2部屋が同時に空いたので、そのタイミングで2部屋ともフルリフォームをすることになりました。

フルリフォームをする一般的な理由

まず、単純な理由として

  • 池尻大橋エリアでは築40年以上の物件は借り手がなかなか見つからない。
  • 前の入居者が15年以上居住していた為、原状回復自体にもかなりの費用がかかる。
  • 最後に貸した時から時間が経っているので、家賃の減額は避けられない状況。

などがありました。
しかし、今回の工事は大掛かりなもので、1部屋当たり、約300万円近くかかるもの。
ならば、フルリフォームではなく、最低限の原状回復をした上で家賃を下げて募集する、という手もあるのではないかと思うオーナー様も多いでしょう。
それも一つの方法ではありますが、当社は長期的な目線で、このタイミングでフルリフォームをする事をおすすめしました。

フルリフォームを選ぶ時は、より長期的な目線が必要

賃貸管理は投資なので、投資した分以上の収益を回収する必要があります。
もちろん、今回のリフォームに掛けた費用についても同じことが言えるでしょう。
しかし、かけた費用に対して増額分の家賃から考えると、月々1万円程度の家賃UPは一見、「損」なのではないかと思われるかもしれません。
しかし、長期的な視点で見た時に空室期間の長期化を防ぐことができるので、むしろ「得」なのです。

フルリフォームは長期的な目線で検討する

リフォームを行わなかった場合に生じる損失

例えば、月々7万円の家賃だとして、半年空室のままなら42万円の損失。1年になると84万円の損です。
入居者が現れたとしても、2年後退去し、また1年近く部屋が空いてしまうことを想定すると、これだけで168万円の損失になります。
また、古い物件のまま入居されても、老朽化に伴い様々な設備で不具合が発生しやすくなるので、そのたびに数万円単位の修繕費用が発生します。
さらに、入居者の満足度も下がりかねないので、退去のリスクも上がってしまいます。
最後に、先ほど家賃減額も避けられないとお話ししました。今回フルリフォームしたことで、家賃を下げるリスクも15年〜20年は担保されました。
このように長期的な目線で工事の提案をしたところ、オーナー様とその代理人の弁護士さんにも納得して頂くことができました。

今回のリフォームの内容

工事はかなり大がかりな物となりました。建物の老朽化が進んでいたのと、全体的に昔のインテリアだったため、内装を大きく変える必要があったためです。
主な工事内容は以下の通りです。

  • キッチン更新工事
  • 3点ユニットバス更新工事
  • クロス・床の張替え
  • エアコン・モニターインターホンの設置
  • 各種配管の更新、電気工事など

ビフォーアフター

洋室

押入のある古いタイプの洋室
Before
ダークブラウン調のクローゼットがある洋室
After

全体的に赤みのかかった茶色で覆われていた部屋が、ダークブラウン木目調のシックな雰囲気に変わりました。
押し入れも、使い勝手の良いクローゼットになったのでとても便利です。
引き戸も一般的な物からクローゼットと同じ色の引き戸にすることで統一感を出しています。

ユニットバス

壁に凸凹がある古いタイプのユニットバス
Before
新しいタイプの白いユニットバス
After

3点ユニットバスも、全て解体し新しくすることで、清潔感に溢れるユニットバスに生まれ変わりました。

キッチン

古いデザインのキッチン
木調デザインの新しいキッチン

キッチンも一人暮らし用としては十分な広さではありましたが、 やはり老朽化がみられ、デザインも今どきとは言えないような古いタイプでした。
それをブラウンのおしゃれなキッチンに変えることで、料理が楽しくなるような空間になりました。

賃貸物件のリフォームは慎重に

いかがでしょうか。築40年のマンションとは思えないくらい、綺麗になりましたね。
このように、賃貸物件のフルリフォームは高額になるため、単純に家賃の増額分だけで回収することは難しい場合もあります。 しかし、1年以上の空室で出てしまう損失や家賃の減額リスクも避けられるので、長期的な目線で見るとした方が良い時もあります。
そこの判断が難しい場合は、管理会社に相談することをおすすめします。 築古の賃貸マンションを経営されているオーナー様は、ぜひ当社までお声掛けください。

この記事を書いた人

五十嵐 裕也 宅地建物取引士 ・既存住宅アドバイザー

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