単身者需要は依然堅調。築年数が経っても選ばれる物件づくりとは?

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都市部の賃貸市場では、単身者向け物件の人気が引き続き高い状況です。ただ、入居者が物件を選ぶポイントは「家賃の安さ」から「快適さや利便性」へと変化しています。
これまで家賃最優先で探していた入居者も、今では立地や設備、セキュリティなど、暮らしの質を重視する傾向が強まっています。今回は、最近の市場動向を踏まえつつ、築年数が経過しても競争力を維持できる物件づくりのポイントを詳しく見ていきます。

都市部で高まる「快適性重視」の流れ

ここ数年、入居者が物件を選ぶ基準には変化が見られます。
以前は「家賃が安いこと」が第一条件でしたが、最近は「多少家賃が高くても快適に暮らせること」を重視する人が増えています。
具体的には、以下のような設備や条件が人気です

  • 高速インターネットやWi-Fi無料
  • 宅配ボックス、オートロックなどのセキュリティ
  • 都心や駅近などの利便性の高い立地
  • 清潔感のある室内や共用スペース

これらは、特に単身者や若年層の入居者にとって「暮らしやすさ」「安心感」に直結します。つまり、家賃だけではなく“生活の質”を判断基準にする入居者が増えているのです。

「家賃は多少高くても、この設備や立地なら住みたい」と思わせられる物件は、空室期間の短縮にもつながります。

「築古=不利」ではない。小さな工夫で差をつける

築年数が経過した物件は、新築や築浅物件との競合で集客が難しくなる場合があります。しかし、だからといって築古物件が不利というわけではありません。実際、少しの工夫や改善を行うだけで、古い物件でも十分に入居者に選ばれるようになります。

  • 室内のクロス張替えや床材交換などの小規模リフォーム
  • インターネット無料や宅配ボックスの導入
  • 人気の家電・収納設備の設置

築古物件であっても「ちょっとした工夫」で魅力を引き出すことができ、競争力を回復させることが可能です。古さをネガティブに捉えるのではなく、ターゲットにとって価値ある物件に変えていく視点が大切です。

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賃料相場は上昇傾向。改修次第でチャンスも

直近の賃料相場を見ると、地域によっては上昇傾向が見られます。背景には、都市回帰の動きや外国人入居者の増加があります。特に都心部のワンルーム需要は再び高まっており、家賃維持どころか増額の余地も出てきます。
また、単身者向け物件は“利便性重視”の傾向が強いため、適切な改修や設備導入を行えば、家賃アップや入居者ターゲットの拡大にもつながります。

小規模リフォームで壁紙や床材を刷新しただけで、同じ間取りでも家賃1~2万円アップに成功した物件もあります。こうした改善は、費用対効果が非常に高く、オーナーにとって魅力的な投資です。

入居者目線で物件を育てるコツ

物件管理で大切なのは、入居者のニーズに寄り添いながら価値を高めることです。ターゲット層を意識し、快適さや利便性を提供する設備や小規模な改善を積み重ねることで、築年数が経過した物件でも十分に選ばれるようになります。
空室対策や賃料設定も市場の動向に合わせて調整し、少しずつ物件の魅力を育てることで、安定した収益と長期的な競争力につなげることができます。築古物件でも、入居者目線での工夫があれば、新しい価値を生み出せるのです。
「皆さまの物件では、どんな小さな改善が入居者に喜ばれ、選ばれる物件になるでしょうか?」
日々の改善や工夫の積み重ねが、物件の魅力と収益を大きく変えていきます。市場の変化を意識しつつ、ぜひ物件の未来を考えるきっかけにしてみてください。

この記事を書いた人

五十嵐 裕也 宅地建物取引士 ・既存住宅アドバイザー

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