人口構成の変化を中心とした2030年不動産問題

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以前のコラムにて、2020年問題として生産緑地法と関連する不動産市況の問題について取り上げました。今回は、直近に迫る2030年において不動産に影響するといわれている問題をご紹介させていただきます。

1.超高齢化の進行

2030年の社会的な問題として、高齢化の進行が顕著になることが挙げられます。
2030年は、日本の人口の約3人に1人が65歳以上の高齢者になる年です。私自身は団塊ジュニア世代である1974年生まれであるため、この問題となる年代とは少し世代が異なるのですが、渋谷のスクランブル交差点を歩いている方の3人に1人が60歳代以降の方となることを想像すると非常に不思議な気持ちとなります。

超高齢化した社会の問題点として、生産年齢人口が減少することで、労働人口の確保が難しくなり、新たな建築がむずかしくなること、また、老朽化をむかえる既存住宅の修繕工事をする担い手が減少することで、工事費用の増額も懸念されているようです。

超高齢化の進行

2.空き家増加

2030年には空き家の数が増加する可能性が高いと指摘されています。野村総合研究所の調査では、2013年の日本の空き家は820万戸、空き家率は13.5%となっていますが、2030年には30%台に上回ると予測されています。(参考: 野村総合研究所

空き家の原因については、高齢化でも人口減少でもなく、毎年約90万戸程度増改している新築住宅の建築によるものといわれています。
今後、日本の若年層の傾向として持ち家率が低下傾向であることを考慮すると、需要の供給のバランスが崩れて、家が「モノ余り」の状態になると予想されています。
このモノ余りより、不動産価格の下落も想定されることとなります。もちろん都心一等地の価格は大幅には下がらないとはいわれていますが、エリアによっては都内でもこの影響を受ける可能性は十分に考えられます。

3.正規雇用の減少とコロナから始まった働き方改革

現在でも顕著に変化を感じている方も多いと思いますが、DX(デジタルトランスフォーメーション)、いわゆる単純化した仕事に関しては、情報技術を駆使しAI(人工知能)が人間に変わって高い処理能力で対応をするという方向に各業界がシフトしている状況です。
このような状況から、企業側はごく一部の優秀な正社員を採用し、情報技術で単純化作業をまかない、それ以外の方が非正規雇用となる傾向があるといわれています。

また、コロナウイルス感染拡大から、働き方改革が一般化しサラリーマンの残業代は減少傾向にあります。年収に関しても2019年から比べると、2~3割減少するであろうという予測もあります。これらの社会的な変化が若年層の持ち家率の減少に拍車をかけ、更にモノ余り状況が増えることが想定されます。

まとめ

悲観的なことばかり問題視されていますが、やはり、都内の利便性の良いエリアについては、2030年を迎えても、引き続き需要はあるのではないかと筆者は判断しています。あらゆるサービスが一極集中し、何でもそろっている東京都心で余生を過ごしたいと考える方は、年齢を問わず多いでしょう。
ウィル・ビーでは、池尻大橋を中心として都内の今後も需要が見込める物件をご紹介させていただいておりますので、是非一度、お問合せ下さい。

この記事を書いた人

廣瀬 大輔 宅地建物取引士・既存住宅アドバイザー・消防設備士乙種第6類・第1種消防設備点検資格者・第2種消防設備点検資格者