不動産売却や賃貸による収入 確定申告の方法は?
- 住まいの選び方
不動産の売却やマンションの賃貸収入で利益が出たときには、確定申告が必要な場合があります。
でも、確定申告は初めてでよく分からないという方もいるかもしれません。
そこで今回は、確定申告の概要や、不動産売却・賃貸で得た収入に関する内容についてお伝えします。
確定申告とは
会社員の場合、通常は確定申告が必要ないため、「そもそも確定申告って何?」と思う方もいるかもしれません。
確定申告とは、所得税を納めるための手続きで、1年間の所得(収入や売上から経費を差し引いた利益のこと)にかかる税金を自ら計算し、確定申告書を作成して税務署に報告することをいいます。
また、所得税法によって「所得」は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得の10種類に分類されています。
確定申告のタイミングや提出方法は以下の通りです。
タイミング
確定申告が必要な場合、毎年1月1日から12月31日を計算対象とし、年に1回税務署に申告することになります。
提出期間は、対象となる年の翌年2月16日〜3月15日が基本です。
※国税庁のホームページにて各年の情報を確認の上、期限内に申告を行いましょう。
確定申告書の提出方法
国税庁のホームページにある「確定申告書等作成コーナー」では、必要事項を入力するだけで確定申告書を作成できるようになっています。また、会計ソフトなどでも確定申告書の作成が可能です。作成した確定申告書の提出方法には、以下の3つがあります。
- e-Taxで申告する。
※作成した申告書などを、電子送信して提出する方法です。
※「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」があり、それぞれ事前準備が必要なので、国税庁のHPで早めに確認しておきましょう。 - 住所地等を管轄する税務署に郵送する。
- 住所地等を管轄する税務署の受付に提出する。
白色申告と青色申告
また、確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類の申告方法があります。
白色申告は、青色申告と比べて手続きが簡単ですが、青色申告の方が控除や損失の繰越など、多くのメリットが設けられているため、節税に繋がります。
ただし、青色申告を選択する場合は、定められた期限内に税務署へ「青色申告承認申請書」を提出する必要があるので注意が必要です。
確定申告が必要な場合
不動産売却後に確定申告が必要なのはどんなとき?
土地や建物などの不動産を売却後に利益が出た場合は、「譲渡所得」として確定申告が必要です。
一方、不動産を売却したけど、下の計算式に当てはめて、利益が出なかった場合は、確定申告を行う必要はありません。
ただし、医療費控除や住宅ローン控除などを受けたいときや、「譲渡所得に関する特例」、「損益通算」を利用する場合には、利益がなくても確定申告を行う必要があるので気をつけましょう。
さらに、不動産を売却した場合の譲渡所得は、「申告分離課税」といって、給与所得や事業所得(総合課税)とは分けて計算します。
なお、譲渡所得は、所有している資産を売却したことにより得た所得(利益)のことを言います。
例えば、土地や建物のほか、株式、宝石、骨董品なども資産の対象です。
不動産売却による譲渡所得の計算式
譲渡所得=不動産売却による収入−(取得費+譲渡費用)
取得費
不動産の購入代金や改良費、購入にかかった手数料など
譲渡費用
不動産を売却した際にかかった手数料や土地の測量費など
税額の計算や特例などの詳細は、国税庁ホームページでご覧ください。
国税庁:土地や建物を売ったとき
賃貸収入などがある場合に確定申告が必要なのはどんなとき?
賃貸マンションなど、不動産の貸付による収入が修繕費などの経費を上回り、利益が出た場合は、「不動産所得」として確定申告をする必要があります。
その一方、不動産所得が赤字の場合や、副業としての不動産所得が20万円以下の場合、確定申告は不要です。
ただしこの場合も、医療費控除など各種控除を受けたいときや、不動産所得の赤字と給与所得金額を相殺するなどして「損益通算」を利用するときは、確定申告が必要なので注意しましょう。
なお、不動産所得には、不動産の貸付のほか、地上権などの不動産上に存する権利の設定及び貸付による所得、船舶や航空機の貸付による所得も含まれます。
不動産の貸付による不動産所得の計算式
不動産所得=不動産の貸付による収入−必要経費
必要経費
賃貸借にかかる固定資産税や損害保険料、修繕費など
不動産所得についての詳細は、以下の国税庁ホームページでご確認ください。
国税庁:No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)
必要な書類と入手方法
不動産売却後に確定申告をするときの必要書類
- 確定申告書B(第一表、第二表)
- 譲渡所得の内訳書
- 申告分離課税の申告書
- 不動産売却や特例に関する書類
※不動産売却や特例に関する書類は、不動産会社や法務局で入手可能です。それ以外の書類は、税務署から取り寄せるか、国税庁ホームページからダウンロードしましょう。
不動産所得があり確定申告をするときの必要書類
税務署に提出するもの
- 確定申告書B(第一表、第二表)
- 青色申告決済書不動産用(青色申告の場合)
- 収支内訳書不動産用(白色申告の場合)
申告書作成時に必要なもの
- 現金出納帳など収入が分かるもの…通帳や契約書など
- 賃借人の氏名や家賃月額、賃借期間、敷金・礼金などが分かる資料
- 必要経費が分かるもの…通帳や領収書、請求書、借入金の支払明細など
まとめ
今回は、不動産売却の収入や賃貸収入があったときの確定申告についてご説明しました。
国税庁のホームページ「確定申告特集」では、確定申告全体の詳しい情報が手に入るので、申告を行う方は必ずチェックしましょう。
もし、確定申告が必要なのに申告を行わなかった場合は、罰則を受けることもあります。
情報をよく確認したり、余裕を持って準備を行ったりして、期限内に確実に申告しましょう。