不動産の購入や保有にかかる税金ってどんなもの?
- 住まいの選び方
不動産を取得、保有、売却をすれば税金がかかり、取得や保有、売却のために契約をすれば印紙税を納付し、それぞれの登記をするときには登録免許税がかかります。どの税金も申告や納付を怠ればペナルティがありますから、事前にどのような税金を収める必要があるのかをよく理解し、適切に納付するように注意が必要です。
この記事では不動産関係でかかる税金についてまとめてみました。
不動産を取得した時にかかる税金
不動産を取得した時には、取得した原因によって課税される名目がかわります。
ここでは、代表的な取得原因である贈与、相続、売買について、それぞれどのような税金がかかるのかを解説します。
不動産取得税
不動産を取得した時には原則的に不動産取得税がかかります。
この不動産取得税は県税であり、各都道府県に納付する税金です。課税標準額(税金の額を計算する時に基準とする金額)は固定資産税評価額となります。(当面は土地について評価額の1/2)
ただし、相続によって取得したときには不動産取得税はかかりません。
また、住宅として不動産を取得した時には、一定額を控除されますから必ず期限内に控除を受けるための申告を行うことをおすすめします。
贈与
贈与税
贈与を受けた方に贈与税がかかります。
申告は贈与を受けた翌年の確定申告の時期に行います。贈与税は贈与された額によって贈与税額は異なります。具体的な金額については、国税庁のホームページに記述がありますのでそちらをご覧ください。
相続
相続によって亡くなった方の財産を承継した場合には相続税がかかります。
相続した財産とは不動産だけではなく、預貯金や株式などの有価証券、生命保険や第三者への貸付金などを含み、亡くなった方の債務(借金などのマイナスの財産)も相続財産となります。
相続税には、基礎控除額(3,000万円+600万円×相続人の数)が定められていて、配偶者が相続する場合には特別に配偶者控除が認められています。例えば、亡くなられた方の全部の財産(相続税評価額といいます)が3,100万円で、相続人の数が1名の場合は、3,600万円までは基礎控除額の範囲ですから、相続税を納める必要がありません。
相続税
相続税の申告は「亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」が原則ですが、準確定申告(=亡くなられた方の代わりに相続人が行う確定申告)が必要な場合には、「亡くなったことを知った日の翌日から4ヶ月以内」の申告が必要であり、収益財産(家賃収入など)であれば相続した方は翌年から確定申告が必要になりますから注意が必要です。
売買
売買によって不動産を取得した方は原則として課税対象になるものはありません。
ただし、売買契約書を作成しますから、売買契約書に収入印紙を貼付することで印紙税を納める必要があります。なお、売主は売却時に利益を得た場合には、譲渡所得税を納める必要があります。
売買によって不動産を取得した買主が住宅ローンを利用する場合には、所得税から控除できる住宅ローン控除を受けることができますから住宅ローンを利用する場合には翌年の確定申告のときに申告をしましょう。
申告は、はじめの翌年の申告だけでよく、次回からは年末調整によって所得税が減額されます。
不動産を保有している場合にかかる税金
不動産を保有しているだけで次の税金がかかります。
- 固定資産税
- 都市計画税
固定資産税評価額は原則3年ごとに見直しをされて課税の基準となる金額が決定されます。建物新築時は3年〜5年間軽減される特例があり、建物がある土地についても軽減されて課税されます。毎年1月1日(または前年の12月31日)時点の所有者宛に4月以降に納税の通知書が送付されます。
年度内に売買を行って引き渡す場合には、納税者を年度内に変更できないことからその年度分を日割計算し、引渡し日に精算するのが一般的です。ただし日割計算の基準日を1月1日とする地域と4月1日とする地域がありますから、その地域の慣習によることになります。
不動産を保有している事実によって課税される税金ですから、その不動産が利益をうんでいるかは問いません。
利益が発生している場合には、所得税がかかります。
なお、都市計画税は市街化区域内にある不動産について課税される税金です。
保有している不動産を運用することでかかる税金
保有している不動産を駐車場や賃貸している場合に発生した利益は納税の対象となり、国に納める所得税と住民税の収入割として県や市区町村に納税する必要があります。
- 所得税
- 住民税
不動産を売却した時にかかる税金
不動産の譲渡所得税
売買によって利益が出た方については不動産の譲渡所得税を納付することが必要になります。利益の計算のために売買代金などから取得費用や必要経費を控除した残りが所得となります。
課税には長期・短期とで約20%税率が異なり、また住宅用の財産など一定の要件を満たすことで軽減を受けることができます。
また、売買をしたのではなく離婚によって財産分与をした場合にも不動産譲渡所得税を納めなければならない場合がありますから注意が必要です。
契約をしたときにかかる税金
印紙税
売買契約書を作成するなど課税となる文書を作成した時には、収入印紙を契約書に貼り付けて消印をする方法で納税します。
印紙を貼り付けていなかった場合や消印が不完全な場合には規定額の3倍の額のペナルティが課されます。
なお、贈与を行なう際に贈与契約書を作成した場合には、贈与契約書も課税文書ですから注意しましょう。
登記をしたときにかかる税金
登録免許税
贈与を受けたときや、相続で不動産を承継したとき、売買で不動産を購入したときには、自分の権利を保全するために不動産登記を行ないます。
登記をするためには登記の申請時に登録免許税を納付します。
登録免許税は固定資産税評価額が課税標準額となっていますが、税率は取得原因によって異なります。
たとえば次のようになります。
- 贈与:20/1000
- 相続:4/1000
- 売買:土地は15/1000、建物は20/1000
ただし今のところ相続登記が免税になる特例があり、自分の住宅用として取得した建物について要件にあてはまる場合には3/1000になるなどの軽減措置がとられていますから適用漏れがないように注意してください。
一覧表
取得原因と課税される税金の種類は以下のようになります。
行為(取得原因) | 税金の種類 | 契約 | 登記 |
---|---|---|---|
贈与 | 贈与税 | 贈与契約書に印紙税 | 登録免許税 |
売買 |
不動産取得税 譲渡所得税・住民税 |
売買契約書に印紙税 | 登録免許税 |
相続 | 相続税 | - | 登録免許税 |
保有 |
固定資産税 都市計画税 |
- | - |
投資・運用 | 所得税・住民税 | 賃貸契約書などに印紙税 | - |