既存住宅状況調査（インスペクション）とは？

中古住宅を購入する際に行われる、既存住宅状況調査(インスペクション)。安心して住宅を購入するために調査を行いたいものの、必要な費用やメリットがいまいちわからないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、インスペクションのメリット・デメリットや調査にかかる費用について解説します。

既存住宅状況調査(インスペクション)とは

既存住宅状況調査(インスペクション)とは、中古住宅を購入する際にホームインスペクターと呼ばれる専門家が行う不動産調査のことです。
目視・動作確認・聞き取りなどによって住宅の劣化状況や欠陥があるかどうかを調べ、修理が必要な箇所やタイミング、かかる費用などのアドバイスが行われます。中古住宅の購入を検討している買主が依頼するだけでなく、事前に建物の問題を明らかにしてトラブルを避けたい売主が依頼する場合もあります。
インスペクションの実施はどのタイミングでも可能ですが、理想的なのは物件の売買契約前に調査を行うことです。調査の結果、住宅に重大な欠陥が見つかったときでも、違約金なしで申し込みをとりやめることができます。

ここでは、インスペクションを行うことによるメリットとデメリットをご紹介します。

インスペクションのメリット

インスペクションを行う大きなメリットは、建物の状況を明確に把握したうえで納得して購入できる点です。
専門家の検査によって劣化具合や修繕が必要な箇所がわかるため、何も調査していない住宅と比べて安心して購入できます。また、購入後の維持費用やリフォーム費用などが予測可能であるため、売買価格が妥当かどうかを見極める判断材料や今後の資金計画を立てる際の参考にもなるでしょう。
また、インスペクションを実施することを前提とした保険も存在するため、加入することで住宅の引き渡し後に欠陥が見つかった場合に備えることもできます。売主側にとっても、住宅の現状や問題点などをきちんと説明したうえで契約ができるため、後で買主から身に覚えのないクレームや修理費の請求を受けることを未然に防げるといったメリットがあります。

インスペクションのデメリット

インスペクションを行うことによるデメリットは、調査費用として決して安くはない費用が発生する点です。住宅の規模や検査を担当する業者によって相場は異なりますが、安くても5万円、高い場合は15万円程度かかってしまいます。
また、インスペクションを行ったとしても、基本検査のみでは住宅のすべての問題が見つかるとは限りません。 国土交通省が出している「既存住宅インスペクション・ガイドライン」によると、インスペクションの調査範囲は以下のとおりです。

• 現場で足場等を組むことなく、歩行その他の通常の手段により移動できる範囲
• 戸建住宅における小屋裏や床下については、小屋裏点検口や床下点検口から目視可能な範囲
• 共同住宅においては、専有部分及び専用使用しているバルコニーから目視可能な範囲

ガイドラインに書かれているように、中古住宅のインスペクションは目視による検査が中心です。目視できない断熱材や配筋（鉄筋の配置）などは検査できません。また、業者によっては依頼者が希望しない限り設備に関する検査をしない場合もあります。そのため、住宅の引き渡し後にインスペクションでわからなかったトラブルが判明することもあるでしょう。
戸建てであれば目視できない箇所の調査を依頼することもできますが、必要な費用は更に高くなってしまいます。

インスペクションにかかる費用

インスペクションにかかる費用の相場は、住宅や業者によりますが5〜7万円程度です。マンションより戸建ての方が検査項目が多いため、その分費用がかかる傾向にあります。
マンションの場合、面積にかかわらず5万円程度が相場です。戸建ての場合は床面積の広さに応じて金額が変わり、相場は4.5万円〜6.5万円程度と幅があります。また、目視できない箇所を調べる詳細診断を依頼すると、10万円以上かかるケースが多くなります。
インスペクションにかかる費用の内訳は下記のとおりです。

• ホームインスペクターの人件費
• 調査現場までの交通費
• 調査機器に対する費用(目視による調査を行う場合は発生しないこともあります)
• 報告書などの作成にかかる費用
• 事務スタッフの人件費

まとめ

中古住宅を購入する際には、契約前に既存住宅状況調査(インスペクション)を行うことがおすすめです。 インスペクションによって住宅の劣化状況や修理が必要な箇所などが明確になるため、物件を購入するかどうかの判断材料になります。また、修繕やリフォームにかかる費用の見通しを持つため、今後の資金計画を立てる際にも役立つでしょう。
売主にとっても、買主とのトラブルを防いで安心して購入してもらうための有効な手段といえます。
中古物件の購入を検討している方はぜひ参考にしてくださいね。