分譲マンションの管理体制の特徴

  • 住まいの選び方

分譲マンションを購入すると、毎月管理費や修繕積立金を支払ってマンションの管理に関わることになります。 マンションごとに、「管理会社に委託する方法」と「住人たちだけで自主的に行う方法」のいずれかが選択されていますが、それぞれどのような特徴があるかご存じでしょうか?
ここでは分譲マンションの管理体制の特徴と、方法ごとのメリット・デメリットをご紹介します。

自主管理と全部委託の違い

分譲マンションの管理方式の中には、自主管理と全部委託があります。その違いはマンションの管理を管理会社に任せるかどうかという点です。

自主管理とは、エレベーターやエントランスといった分譲マンションの共有部分の管理を管理会社などに委託せず、所有者自らが行う管理形態のことです。保守点検に関しては専門業者と直接契約します。築年数が経過している中古マンションに多い管理形態で、戸数が少ない方が比較的管理が行いやすくなります。
反対に、全部委託とはマンション管理のすべてを管理会社に任せる管理形態のことです。最近のマンション運営は全部委託が主流になっています。新築の分譲マンションでは、分譲業者があらかじめ管理会社を指定している場合も多いです。
また、管理業務を部分的に管理会社に依頼し、他の業務は住人で行う一部委託という管理方式もあります。この場合、自分で管理している部分については、管理組合が直接専門業者に修理や点検などの発注を行います。

自主管理と全部委託の違い

ここでは自主管理と全部委託について、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。

自主管理のメリット

自主管理の一番のメリットは、管理費用が抑えられる点です。
自主管理のマンションは管理会社に委託することがないので、そのための費用が発生しません。そのため、毎月の管理費の負担が軽減されます。
また、マンションの管理や運営を自分たちで行うため、住人たちの「マンションをより良くしよう」という意識が高い点もメリットです。住人同士で話し合う機会も多いため、自然とコミュニティが形成されていきます。お互いの顔を知っているため、地震や洪水などの自然災害が起きた際にも住人間で協力しやすいのも自主管理ならではの良さといえます。

自主管理のメリット

自主管理のデメリット

自主管理のデメリットは、業務内容が多く個人の負担が大きい点です。管理業務は共有部分の清掃だけでなく、マンションの会計や修繕計画の作成、他には住人同士のトラブル対応など多岐に渡ります。適切な管理や保守点検ができていないと外観や設備が著しく劣化してしまい、マンションの資産価値が下落してしまいます。資産価値が下がったマンションは売却しようと思ってもなかなか買い手を見つけられません。

また自主管理の場合、そもそも管理組合が存在していないことがあります。そのようなマンションは住宅ローンが組めなくなり、現金一括決済でしか購入できません。そのため購入希望者が減ってしまい、売れない状態になってしまいます。
さらに、自主管理を行うためには専門的な知識や情報が必要なうえに、全体の管理を取りまとめるリーダーの存在が必要です。うまく運営できていたとしても、時が経過してマンションの住人が高齢化してくると「マンションの管理のことは〇〇さんしかわからない」という状態になりかねず、安定した管理を継続することが困難になります。

自主管理のデメリット

全部委託のメリット

全部委託のメリットは、管理会社が管理・運営してくれるおかげで住人の手間があまりかからない点です。設備の故障や事故などのトラブルにも迅速に対応してもらえます。
また、管理会社がマンション管理に関する新しいサービスなどを紹介してくれるため、自分たちでわざわざ情報収集しなくても最新の情報が手に入ります。
さらに、マンションの管理については売主の不動産ディベロッパーが管理会社と話して決めているため、プロのノウハウが運営に生かされることも強みです。また、住人が入れ替わったり高齢化したりしても運営には影響しないため、安定した管理を継続できます。

全部委託のデメリット

全部委託のデメリットは、管理会社に任せきりになるため、住人の希望に合っていないマンション運営や管理になってしまうことがある点です。売主である不動産ディベロッパーは管理費を下げることを目的に運営しているため、実際に住んでいる人の立場で考えられていない場合があります。
また、自主管理に比べると管理費が割高になる点もデメリットの1つです。

まとめ

分譲マンションの管理体制は「管理会社にマンションの管理や運営を委託するか」「住人で管理や運営を行うか」によって分かれます。全部委託の場合、住人の手間が減る代わりに管理費用が割高になってしまう点が特徴です。また、自主管理は業務内容が難しいうえに量が多く、個人の負担が大きくなりますが、住人間の交流が生まれやすいことや管理費用が抑えられるといったメリットがあります。
それぞれの特徴をしっかり理解したうえで、後悔のない分譲マンション購入ができるといいですね。