どうして繰上返済が必要なの?ローンの繰上返済をする理由・申込方法を解説
- 売却
不動産を売却するときには、返済中のローンがあれば遅くとも売買代金の決済時までに返済を終わらせなければなりません。
この記事では、どうして繰上返済をしなければならないのか、繰上返済を申込む方法について解説します。
どうして繰上返済が必要なの?
返済中のローンがあるとき、ほとんどの場合に抵当権などの担保設定がされています。
担保が設定されていると、金融機関などはお金を借りている方(債務者)の借入金の返済が滞ったとき、所有者の意思に関係なく強制的に売却(担保不動産の競売)することができます。
担保不動産を競売で売却されると所有者は所有権を失ってしまうので、このようなおそれがある不動産を安心して購入することはできません。
そのため、安心して買主に売買代金を支払ってもらうために、遅くとも売買代金の決済時までに繰上返済をし、ローンを完済しなければならないのです。
繰上返済のタイミング
「遅くとも」売買代金の決済時までに返済を終わらせなければならないとはいっても、具体的にはいつまでにすればよいのか、繰上返済のタイミングについて説明します。
決済と同時に返済も可能
繰上返済の最終期限は、売買代金の決済時です。
そのため売買代金を返済資金にあてることもできますし、実際の不動産取引では、売買代金を返済資金にあてることがほとんどです。
ただし、返済は売買代金の支払い時でよいのですが、金融機関に決済日当日に突然「繰上返済する」といっても受け付けてはもらえません。申込の時期や手続きについては、このあとに説明する「金融機関への繰上返済申込」の項目を参考にしてください。
早く返済するメリット・デメリット
資金に余裕があれば、売買代金の決済時まで待たずにローンを返済して抵当権を抹消しておくことも可能です。
早く返済すると、次のようなメリットがあります。
- 自分で抵当権の抹消登記をすることができる
- 早く返済した分だけ支払う利息が安くなる
自分で抵当権の抹消登記をすることができる
ローンの返済が早く終わって売買代金の決済日まで余裕があれば、自分自身で抵当権の抹消登記をすることが可能になります。
司法書士に抹消登記を依頼すると、登録免許税の実費を含まず15,000円〜20,000円ほどかかるため、その分お得です。
繰上返済の申込をして取扱金融機関の窓口に抹消書類が届くまでに約10日〜2週間かかり、抹消登記に1週間〜2週間ほどかかります。売買代金の決済日当日に登記記録が確認できなければ決済ができないので、違約金などが発生するおそれがあります。必ず決済日までに抹消登記を完了させましょう。
早く返済した分だけ支払利息が安くなる
ローンの利息は返済期間によって計算するので、返済期間が短くなればその分支払利息は減少します。
ローン残高が1,000万円で利率を年1%とすると年利は10万円です。
半年だと半分の5万円分の利息が浮くことになります。
デメリットとして、繰上返済した場合に金融機関から「違約金」を請求されることが多いです。そのため繰上げ返済したいときは、事前に金融機関に違約金について問い合わせて確認しておきましょう。
金融機関への繰上返済申込
繰上返済の手順は以下のようになります。
- 繰上返済の申込
- 取扱金融機関が日程にあわせて準備
- 返済額の確定
- 返済
繰上返済の申込
ローンの取扱金融機関に繰上げ返済を申し込みます。一般的には、金融機関の窓口に行って繰上返済の日程を伝えます。下記が必要になるため、行く前に電話して必要書類を確認しておきましょう。
- 本人確認書類
- 銀行の取引印
- 返済予定表
取扱金融機関が準備すること
繰上返済の申込を受けた金融機関は、必要な準備をはじめます。 抵当権などの抹消書類は取り寄せにも時間がかかります。 金融機関の準備期間として、少なくとも10日〜2週間程度はかかるため、十分に余裕をもって繰上返済の申し込みをしましょう。
返済額の確定
繰上返済の申込を受けた金融機関は、繰上返済の日程にあわせて支払元本や利息の額を計算して、当日支払う額の連絡をしてくれます。
返済額が決まればその額を繰上返済日までに準備します。
売買代金の決済日には仲介手数料など他に支払う費用があるため、あらかじめ資金計画をたてて準備しておきましょう。
返済
繰上返済を予約した日に返済をすれば完了です。
売買代金を返済資金にあてる場合
売買代金を返済資金にあて、同日に抵当権の抹消を行う場合は、リスクがあるため通常は司法書士が対応します。
返済をおこなう金融機関の窓口に下記内容を伝える必要があります。
- 売買代金を返済資金にあてること
- 司法書士が代理で書類を受け取りにくること
- 代理人となる司法書士が決まっていれば連絡先
これらのことをはっきりと伝えておかなければ、当日に必要である抹消書類が後日郵送するように手配されていたり、返済後に司法書士と一緒に本人も窓口に行かなければならなくなったりと、面倒なことになるケースがあります。当日の売買ができなくなると返済資金にあてた売買代金を買主に返さなければならなくなってしまい、大変なことになります。
売買代金を返済資金にあてる場合には、売買を担当する司法書士から取扱金融機関に抹消登記の手続きのために事前に連絡をいれます。個人情報に関わることのため、ですから本人から申し入れがなければ金融機関は司法書士に対応しません。
必ず金融機関に担当の司法書士の連絡先を伝えておきましょう。
売買代金の決済日に返済をした場合の手続きは、以下の流れになります。
- 司法書士が抹消書類以外の所有権移転手続きに必要な書類を確認します。
- 確認がとれたら、買主は売買代金を売主に支払います。
- 売主は借入先の金融機関に宛てて返済資金を振り込みます。
- 司法書士は借入先の金融機関に返済資金が届いたか確認を依頼します。
- 借入先の金融機関は返済資金が届いたら返済処理を行います。
- 借入先の金融機関から連絡がくれば司法書士がその金融機関に抹消書類を受け取りに行きます。
本人も同行する必要がある場合もあります。事前に当日の流れを確認しておきましょう。
資金計画をたてておきましょう
不動産の売買は大きな金額が動く取引です。
返済資金の他に支払わなければならない金額を確認して、売買の決済当日にあわてなくてもすむように手配しておきましょう。
売買代金の決済時に必要な費用
- 返済額
- 仲介手数料の残金
- 登記費用・司法書士報酬
売却後に必要な費用
- 譲渡所得税などの税金(非課税の場合もあります)
- 引越費用