オートロック連動インターホンの実情とは?事例や新システムについても解説します

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オートロック連動インターホンとは

1.オートロックシステムの仕組み

ご存知の通り、オートロックは建物のエントランスの玄関を自動的にロックし、来訪者の際にお部屋内からエントランス玄関のロックを解除する事ができるシステムです。
これにより、エントランスと各住戸の玄関との二段階でセキュリティを確保できます。
分譲マンションなどでは他の設備等と連動・連携し、情報や信号のやり取りをして、マンション全体の警戒・警備するシステムとしても働いており、図のように他の設備と複雑に相互連動しています。

引用:共同住宅用 統合盤システム(一括遠隔試験対応) | Panasonic ①オートロックシステムの仕組み

2.故障リスク・不具合リスクが多いインターホン設備

上記の図のようにお部屋・エントランス部分の様々な設備と連動・一体をなしている設備なので、故障・不具合のリスクが高いと言われています。

  • 室内子機  モニターの画像が見えない・外の呼び出し音が聞こえない等
  • 玄関子機  雑音が入る・呼び出しがならない・不可解な音が鳴っている等
  • 管理室親機 誤報が鳴る・雑音が入る・連動していない住戸がある等
  • 集合玄関機 特定の住戸だけ呼び出しができない・鍵穴が回りづらい・雑音が入る等

特に、外気にさらされている玄関子機と普段から居住者が頻繁に使用する集合玄関機は、その他の設備と比較して、劣化の進行が早く故障・不具合のリスクが高くなります。

インターホントラブル事例

次に、実際に発生したインターホンのトラブル事例をご紹介します。

1.同時期に複数戸で室内子機トラブル発生

一棟物件のとある入居者様より「インターホンの室内子機から異音がする」とのご相談をいただき、メーカーに修理を依頼したところ、内部の基盤が劣化したためと判明しました。
不具合は基盤交換で解消・復旧しましたが、その不具合から約1ヶ月の間に、他の複数戸の居住者からも同じような不具合の報告があり、修理対応を行いました。
結果的に、今後も同様の不具合が発生する可能性が高いことも考慮し、このタイミングでマンション全体でインターホン設備のリニューアル工事を実施することとなりました。 一般的に、インターホン設備の耐用年数は10年〜15年ほどと言われています。
今回の事例のように、ある時期に集中して複数の不具合が発生して修理が必要になるケース、メーカーが修理対応を終了することによって修理自体ができなくなるという場合がありますので、注意が必要です。

②故障リスク・不具合リスクが多いインターホン設備

2.ガス感知器・自動火災報置設備との連動・誤報

特に分譲マンションに多い設備として、インターホンが、建物のガス感知器や自動火災報知設備と連動しているタイプがあります。
各お部屋内で異常を検知したり、室内子機についている非常ボタンを押すと、自動的に信号が自動火災報知設備やガス感知設備・警備設備に送られ、警報が鳴り、館内全体に異常を知らせます。
この設備では、室内側の子機の配線に断線や経年の劣化などにより、異常時でなくとも信号が送られ、誤報が発生するケースが過去にありました。建物全体と連動している設備になるため、不具合によって他の住戸や周辺に大きな影響を与えます。
分譲マンションの場合は、お部屋の子機に不具合があった時、早急に管理組合等に相談をして対応する必要があります。
不具合の修理や工事がお部屋部分のみで対応できない可能性があり、場合によってはマンション全体のインターホン設備の改修工事が必要になることもあるからです。

インターホンリニューアルのススメ

先ほどの事例でご紹介したように、インターホン設備は耐用年数が10年〜15年位です。実際に不具合が起きていなくても、メーカー自体が修理部品の保管・供給を終了する場合もあり、それ以降の修理対応ができなくなる可能性があります。
だからこそ、複数戸での不具合やトラブルが起きる前に、耐用年数を参考にして全体的なリニューアル工事を実施する必要があります。エントランスのオートロックのない物件であれば、各住戸インターホンを個別に修理・交換することができます。
最近は内部配線の工事が不要で、取り付けるだけの無線式のモニター付きカラーインターホンなどもあり、比較的簡単に交換が可能です。
一方、オートロック連動式インターホンについては、大規模な工事になります。それに、メーカーへの発注から工事まで相当の時間を要する可能性もあるため、不具合の発生状況を見ながら計画的に検討・対応する必要があります。
なので、分譲マンションでは長期修繕計画などで修繕計画や予定があるかどうかを確認しておくことをおすすめします。

新たなオートロックシステム

最近は従来の物理的な鍵によるオートロックシステムから一線を画した、次世代型オートロックシステムとも言われる新たなオートロックシステムも登場しています。
例えば、各個人のICカードや暗証番号などでオートロックの解錠などができる「スマートロックシステム」や、QRコードを使用したオートロック解錠システム、スマートフォンを使用したモニターインターホン(実質、室内の子機が不要になる)などがあります。
このような設備を導入することによって、入居者の満足度アップ、敷いては資産価値の向上につながります。全体的な改修工事のタイミングでリニューアルを検討されてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

田井 捺記 宅地建物取引士・既存住宅アドバイザー・消防設備士乙種第4類

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