海外資本・外国人取得規制・“観光×土地”の関係増す。それがもたらす波紋

  • 売却

観光需要の回復や外国人投資の活発化など、近年の不動産市場では“海外マネー”の影響がますます大きくなっています。
一方で、外国人による土地取得を巡る規制や制度も少しずつ整備が進み、「開かれた市場」と「守るべき領域」のバランスが問われる時代に。
こうした動きは、観光地やリゾート地、そして都市部の土地価値にも波紋を広げています。今回は、「観光×土地×外国人取得」という視点から、いまの市場動向と、売却を考える方に知っておいていただきたいポイントを整理します。

観光回復がもたらす“土地価値の変化”

コロナ禍を経て、訪日外国人(インバウンド)需要は急速に回復しています。
観光庁の発表によると、2024年の訪日外国人旅行消費額は前年比53.1%増の約8兆1,000億円。観光産業が再び勢いを取り戻しています。
その影響を受けて、観光地やリゾート地、繁華街の地価が上昇する動きも見られます。特に宿泊施設や商業施設の需要が高まるエリアでは、土地の用途や価値が見直され、再評価が進んでいます。海外の富裕層や外国人投資家による日本不動産への関心も高まり、都市部だけでなく地方リゾートにも資金が流入するケースが増えています。
「観光が回復する → 土地の需要が高まる → 海外資本が流入する」
そんな流れが、いま日本の土地市場の一つの特徴になっています。

外国人・海外資本の参入と“取得規制”の動き

日本では、もともと外国人でも土地・建物を購入できるオープンな仕組みが整っています。
ただし近年は、安全保障や公共の利益、地域資源の保全といった観点から、取得や利用に一定の制限や届出を求める動きが強まっています。
たとえば「重要土地等調査法」や「重要土地利用規制法」では、防衛施設の周辺や水源地、離島など、特定地域での土地利用を監視・制限できるようになっています。さらに、「外国人土地取得規制法案」と呼ばれる法整備も検討されており、外国人や外国法人による土地取得を総合的に管理しようという流れもあります。
このように、“購入はできる”という現状と、“規制が広がる”という制度的動きの間で、いま市場は微妙なバランスの上にあります。

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観光×土地が生む“チャンスとリスク”

観光需要の回復は、不動産にとってプラスの面も多いですが、一方で注意しておきたいリスクもあります。

チャンス

観光地・リゾート地では、別荘や宿泊施設、商業施設向けの需要が高まり、土地や建物の再活用が進んでいます。また、海外富裕層の購入傾向として「観光地」「駅近」「文化的価値のある建物」が好まれる傾向も。こうした条件を満たす土地は、今後も売却チャンスを得やすいといえます。

リスク

観光依存型のエリアは「観光需要が減ると一気に苦しくなる」側面があります。また、過熱したエリアでは“価格上昇の行きすぎ”や、“出口戦略が難しい物件”も生まれやすくなります。
さらに、外国人取得の規制や届出義務が広がれば、今後は流通性や価値評価に影響する可能性も出てきます。観光地と一口に言っても、アクセスや集客力の差は大きく、“選ばれるエリア”と“取り残されるエリア”の二極化が進む点にも注意が必要です。

売却を考えるなら押さえておきたい視点

市場が動いている今、もし売却を検討するなら、次のようなポイントを意識してみてください。

  • 用途や用途変更の可能性を確認
    住宅用だけでなく、宿泊・民泊・商業用途に転用できるかどうかで、将来の買い手層が変わります。
  • 立地とアクセスを見直す
    観光需要が強い=交通・インフラが整っているエリア。単に“観光地”というだけでは不十分です。
  • 外国人取得・規制動向のチェック
    届出義務や制限が将来的に強まる可能性があるため、対象地域かどうか確認を。
  • 為替や税制、運用コストも考慮
    海外資本が動く背景には円安や国際的な投資流れがあります。売却時も、為替や税制の影響を見逃せません。
  • 出口戦略を描く
    売却後・転用後の運用をどうするか。用途制限のある土地は、将来的に動かしづらくなることもあります。

今後の展望と、売却を検討する方へのメッセージ

観光需要の拡大と外国人投資の増加は、不動産市場に新たな活気をもたらしています。同時に、制度・規制面での整備も進みつつあり、今後は「自由度」と「透明性」のバランスを取る時代に入るでしょう。
観光地の価値は、アクセス、体験価値、地域の魅力づくりによって変化します。こうした“変化の波”を読み取ることが、売却タイミングを見極める鍵になります。 海外資本や観光需要の話題は少し遠いように思えるかもしれませんが、実は身近な土地の価値を左右する要素でもあります。もし「そろそろ売ろうかな」と考えているなら、今の市場の流れを一度チェックしてみてください。
ウィル・ビーでは、エリア特性や需要動向を踏まえ、お持ちの不動産が“いま売るべきか”“まだ持つべきか”を一緒に考えるサポートを行っています。気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

廣瀬 大輔 宅地建物取引士・既存住宅アドバイザー・消防設備士乙種第6類・第1種消防設備点検資格者・第2種消防設備点検資格者

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