築年数が経っても選ばれる賃貸住宅へ!資産価値を育てるポイント

  • 賃貸管理

「築年数が古くなったから、家賃を下げるしかない」。空室が続くと、そう考えるオーナー様もいらっしゃるのではないでしょうか。確かに、建物や設備の劣化は賃貸経営に影響します。
しかし、築年数は物件の状態を知る手がかりの一つであり、住まいの魅力をすべて表すものではありません

海外には、長い歴史を持つ建物に修繕や設備更新を重ね、住まいとして活用し続ける事例があります。その考え方を参考に、日本の賃貸経営で「選ばれる理由」を育てる方法を考えてみましょう。

築年数が経っても選ばれる賃貸住宅へ

築100年を超える住宅から学ぶ、価値を育てる視点

歴史ある建物に、現代の住み心地を加える

歴史ある建物に、現代の住み心地を加える

ニューヨークの集合住宅「アプソープ」は、1908年に建てられた歴史的建築です。改修に携わる構造設計会社GACEによると、住戸の改修に加え、冷暖房設備の新設、駐車場の改修、外壁の補修などが行われています。築100年を超える建物でも、必要な部分に手を入れながら住宅として使い続けている実例です。

日本の賃貸住宅でも、残す魅力と直す不便を見極める

もちろん、海外の歴史的建築と日本の一般的な賃貸住宅では、立地や建物の構造、市場環境が異なります。同じように改修すれば、同じ成果が得られるわけではありません。

参考にしたいのは、物件が持つ強みを見つけ、それを生かす姿勢です。駅からの近さ、ゆとりのある広さ、落ち着いた周辺環境など、設備交換ではつくれない魅力もあります。
そうした長所を確認したうえで、古い水回りや使いにくい収納など、入居の妨げになる部分を整えていきます。新築との比較だけで判断せず、その物件でどのような暮らしができるかを考えることが出発点です。

家賃を下げる前に、選ばれない理由を確かめる

全国の空き家数と、物件周辺の需要を分けて見る

総務省の2023年住宅・土地統計調査では、全国の空き家は900万2千戸、総住宅数に占める割合は13.8%でした。ただし、これは賃貸用だけでなく、売却用や別荘などを含む住宅全体の数字です。そのまま賃貸物件の空室率として捉えることはできません

経営判断では、物件周辺の需要を具体的に確認する必要があります。同じ沿線でも、駅からの距離や面積、間取りによって競合は変わります。近隣の募集賃料に加え、管理会社が把握する成約賃料や募集期間、設備の違いまで比べると、賃料設定と物件の魅力のどちらに課題があるかを整理しやすくなります。

入居者の暮らしから、投資の優先順位を決める

設備を選ぶときは、「人気があるらしい」という理由だけで導入しないことが大切です。どのような人に住んでもらいたいかを考えると、改善の候補が具体的になります。

  • 在宅勤務をする人:通信環境や、机を置けるスペース
  • 帰宅が遅い人:不在時にも荷物を受け取れる宅配ボックス
  • 子育て世帯:使いやすい収納や、家事をしやすい動線

これらはあくまで検討の例です。実際に必要とされているかは、周辺の成約事例や内見時の反応から確かめます。

入居者の暮らしに合わせた設備や住空間

また、問い合わせ自体が少ない場合は、募集写真や掲載情報も点検しましょう。内見はあるのに申し込みにつながらない場合は、見送られた理由を仲介担当者に聞くことが有効です。
原因を確かめれば、全面改装をしなくても、改善すべき箇所を絞れる可能性があります。

複数の住戸を所有している場合は、退去した一室で改善を試し、募集への反応を確認してから他の住戸へ広げる方法も考えられます。その際は、家賃だけでなく募集時期や条件も記録し、工事の効果を見誤らないようにします。

修繕と価値向上を組み合わせ、費用対効果を見極める

見た目の刷新より先に、安心して住める状態を整える

投資を考える際は、建物の機能を維持する修繕と、暮らしやすさを高める改良を整理します。雨漏りや給排水管の不具合への対応は前者、収納の増設や間取りの見直しは後者です。
一つの工事が両方を兼ねる場合もありますが、安全性や日常生活に関わる不具合への対応を優先することが基本です。

室内がきれいでも、設備の故障が続けば、入居者は安心して暮らせません。共用廊下の照明、エントランスの清掃、ごみ置き場の管理なども確認したい部分です。
大きな工事だけに目を向けず、日常の管理と必要な修繕を土台にして、物件の魅力を高めていきましょう。

家賃の上昇額だけでなく、手元に残る収益で考える

設備更新を検討するときは、工事費だけでなく、工事中に得られない家賃や更新後の維持費まで含めて収支を確認します。投資を回収する前に設備の再交換が必要にならないか、今後の保有予定期間に合っているかも確かめましょう。

投資の効果は家賃の上昇だけではありません。募集期間の短縮や、住み心地の改善による入居継続も検討材料になります。ただし、いずれも確実な成果として計算に入れず、効果が小さい場合の収支も確認しましょう。

賃料の見直しが合理的なケースもあります。「投資して貸す場合」と「工事を絞り、募集条件を調整する場合」を同じ期間で比較し、支出を差し引いた収益で判断することが大切です。

一度のリフォームで終わらせず、次の10年を設計する

修繕の時期と資金を、空室になる前から準備する

国土交通省の「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」では、長期修繕計画、定期的な点検、必要な修繕、記録の保管を継続する考え方が示されています。修繕費が大きくなる時期を見通し、計画的に資金を積み立てることも勧めています。

賃貸住宅の点検と修繕計画の確認

オーナー様がまず取り組みたいのは、設備の設置時期と過去の工事内容を整理することです。そのうえで、専門家の点検を基に、対応する時期を分けます。

  • 早急に対応するもの:安全性や日常生活に関わる不具合
  • 次の退去時に行うもの:入居中には施工しにくい室内の改修
  • 数年後に備えるもの:点検結果を踏まえ、資金を準備する修繕

工事費はその時点の見積もりで確認し、建物の状態に応じて計画を見直しましょう。

今後も保有するのか、売却や家族への承継を考えるのかによっても、投資に使える期間や予算は変わります。目の前の空室対策を、資産全体の将来像と結び付ける視点が必要です。

また、一室の内装に予算を使い切り、建物全体の防水工事などに備えられなくなっては本末転倒です。住戸ごとの改修費と、屋根や外壁などの修繕費を合わせて見通し、手元資金の余裕も確かめておきましょう。

手をかけた内容を、入居希望者に伝わる魅力にする

設備を更新しても、募集情報が以前のままでは、その良さが伝わりません。「リフォーム済み」の一言にとどめず、更新箇所や時期、暮らしがどう便利になるのかを写真と文章で示しましょう。実施内容に即した説明は、築年数だけでは分からない物件の状態を伝える手がかりになります。

まとめ

築年数が経っても選ばれる物件にするために

  • 物件が持つ魅力を生かし、暮らしの不便を改善する
  • 家賃を下げる前に、周辺の需要と募集状況を確かめる
  • 投資額だけでなく、回収期間と手元に残る収益を見る
  • 修繕の時期と資金を計画し、改善した内容を募集情報に反映する

資産価値は、工事費をかけた分だけ上がるものではありません。入居者に選ばれる状態を保ち、将来の修繕に備えながら収益を確保できるかが重要です。

ウィル・ビーでは、オーナー様の大切な資産を長期的な視点で捉え、物件ごとの市場性や入居者ニーズを踏まえた修繕・リフォーム・価値向上をご提案しています。
「設備更新の時期を知りたい」「家賃を下げる前にできることを考えたい」。そんなときは、まず現在の募集状況や修繕履歴をお聞かせください。
物件の強みと課題を整理し、これからも選ばれる住まいづくりを一緒に考えていきます。

この記事を書いた人

豊田 重道

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