家を買うときにかかる費用とは?

  • 資金計画

不動産を購入するときには売買代金の他にもいろいろな出費があります。
不動産購入は大きな買い物ですから、つい売買代金の支払いに注目しがちですが、諸費用が重なると相当な金額になります。
ここでは、どのような費用がかかるかを整理しておきましょう。

不動産購入にかかる諸費用とは?

不動産を購入する時は、「売買契約」「銀行からの住宅ローン借入手続き」、「売買代金の支払い」という流れになっています。 このような流れの中で次のような費用が発生します。

  1. 印紙代(売買契約書)
  2. 仲介手数料
  3. 登記費用
  4. 金融機関手数料(住宅ローン借入)
  5. 売主との精算金
  6. 保険料
  7. 不動産取得税

これらの費用の他にも、新しい住まいへ引っ越すための引越費用や新しい家具や家電を買い求めれば、それらも費用として計算する必要がありますから、あらかじめ予算をたてておきましょう。 一般論になりますが、これらの諸費用の合計金額は、購入金額の6-8%程度が目安となります。
諸費用のなかの項目によっては、住宅ローンの対象となるものがありますから、借り入れる銀行に相談するのもおすすめです。

不動産購入にかかる諸費用とは?

項目ごとの費用の目安

諸費用の項目ごとにどれくらいの金額になるのかおおよその目安をつけておきましょう。

印紙代

不動産を購入する時の売買契約書や住宅ローンを借り入れるための契約書には、収入印紙を貼付して納税することになります。印紙税法によって、課税文書とされているためです。
ただし、令和4年3月31日までは軽減税率が適用されます。売買契約書には次のように課税されます。

契約金額 本則税率 軽減税率
500万円~1000万円 1万円 5000円
1000万円~5000万円 2万円 1万円
5000万円~1億円 6万円 3万円

国税庁:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

なお、近いうちに不動産売買契約も電子契約によって締結できるようになります。 電子契約の方法によって売買契約を行えば印紙税はかかりません。 不動産売買契約書は通常2部作成し、売主と買主が1部ずつ保管します。
作成した契約書それぞれに収入印紙を貼付する必要がありますから、自分が保管する契約書には収入印紙を貼付して消印をしておきましょう。 不動産を購入した翌年には、住宅ローン控除やその他の税金の申告のために税務署で売買契約書を見せることがあります。
このときに契約書に収入印紙が貼付されていなかったり、貼付されていても消印がされていなかったりすれば、過怠税(=印紙を正しく貼らなかったことに対する税)として法定貼付額の3倍のペナルティが課されますから忘れないように注意しましょう。

項目ごとの費用の目安

仲介手数料

売買を斡旋してくれた不動産業者に報酬として仲介手数料を支払います。 仲介手数料は宅地建物取引業法によって請求できる上限が定められています。 仲介手数料は以下の計算式で求めることができます。

(売買価格×3%+6万円)+消費税

支払い時期は契約時と物件引渡時に分けて支払うことが多いようですが、事前に仲介を依頼する不動産会社に確認をしておきましょう。

―仲介手数料

登記費用(登録免許税・司法書士報酬)

不動産を購入すると不動産の登記をする必要がありますから、不動産登記にかかる登録免許税や司法書士に依頼する場合には司法書士報酬を支払うことになります。

登録免許税

不動産を購入した時に行う登記には下記があります。

  • 所有権移転登記
  • 所有権保存登記
  • 抵当権設定登記 など

それぞれ税率が異なり、住宅用の不動産であれば軽減税率が適用される場合もあります。
登録免許税を求めるための課税標準価格は、不動産固定資産税の評価額が基準となります。
新築建物の場合は市区町村役場が評価をしていないことが多いですから、この場合は法務局が定めた基準額によることになります。

登録免許税の税率は以下の通りです。

所有権移転登記 ・土地 15/1000
・建物 20/1000
所有権保存登記 ・4/1000
抵当権設定登記(借入額に対して) ・4/1000
軽減税率 住宅用の不動産の場合には一定の条件を満たす建物に対して軽減税率が適用されます。
・建物の移転登記 3/1000
・建物の保存登記 1.5/1000
・抵当権設定登記 1/1000
など。

司法書士報酬

司法書士に登記手続きを依頼する場合には、司法書士に報酬を支払うことになります。 以前は司法書士会が定める報酬基準がありましたが、現在では公的な報酬基準の定めはなく、事務所ごとに報酬基準を定めることになっています。
しかし、公的な基準はないとはいえ、以前の報酬基準をそのまま利用している事務所が多いので、おおよその相場は決まっています。

  • 売買にかかる所有権移転登記では8万円前後
  • 建物保存登記では3万円前後
  • 抵当権設定登記では6万円前後

が一つの目安となります。
案件の複雑さや筆数などの条件によって異なりますから、事前に確認をしてください。
新築建物の場合は、司法書士の他に土地家屋調査士に建物の表題登記を申請することになります。
こちらの費用はおおむね8万円前後になります。

金融機関手数料

住宅ローンを利用する場合には、契約に際していろいろな費用がかかります。
例えば次のような費用があります。

  • 住宅ローン契約書に貼付する収入印紙代
  • 事務取扱手数料
  • 住宅ローンの保証料
  • 団体信用生命保険料 など

住宅ローン契約書に貼付する収入印紙代

以下のようになります。

契約金額 印紙代(本則)
500万円~1000万円 1万円
1000万円~5000万円 2万円
5000万円~1億円 6万円

事務取扱手数料

住宅ローンを利用する際に取り扱う金融機関に支払います。
金融機関によって金額は異なりますが、3万円〜10万円程度必要です。
金額については予め利用する金融機関に確認をしておきましょう。

住宅ローンの保証料

住宅ローンを借り入れるために保証会社を利用する時に発生します。
こちらも金融機関によって取り扱いが異なり、融資時に一括払いをする場合や、月々の金利に上乗せされる場合、保証料が免除される場合など様々ですから確認が必要です。

団体信用生命保険料

住宅ローンを借りる人に万が一のことがあれば保険会社から保険金で住宅ローンの残債を支払ってくれる保険です。
ローン利用者が支払うことが原則ですが、金融機関が負担していることもありますから事前に問い合わせしておきましょう。

売主との精算金(固都税・修繕積立金など日割り金額)

売主が負担している費用を買主が引き継ぐ場合に精算金が発生します。
不動産固定資産税などは、年度途中で課税名義人の変更ができませんから、年度中の税金を日割で清算します。

精算が行われることが多い費用は次のようなものです。

  • 不動産固定資産税・都市計画税
  • 修繕積立金
  • 管理費・共益費

不動産固定資産税・都市計画税

不動産固定資産税や都市計画税は毎年1月1日(又は前年の12月31日)時点の所有者に対して毎年4月以降に課税される市区町村税です。
売買代金を最終的に支払う決済日からの日割計算をして精算を行いますが、基準となる日は1月1日としている地域と4月1日としている地域がありますから、それぞれの地域の慣習によることになります。

修繕積立金・管理費・共益費

マンションなどでは修繕積立金等を共同所有者全員が負担しています。
月の途中で名義変更をする場合や管理組合などの都合で代金決済日に名義変更や引き落としの手続きが間に合わない場合に売主と買主の間で日割計算をして負担を分担することになります。

保険料(火災保険・地震保険)

住宅を購入した時には、一般的には火災や地震に備えて保険に加入します。
住宅ローンを利用する場合には火災保険などに加入することが条件になっている金融機関もあります。
住宅の規模や構造、保険の補償内容、保険金額、保険期間などによって保険料は異なります。
保険料の支払いは一括払いのほか、毎年払いや数年ごとに支払うことも可能ですから、保険会社にあらかじめ問い合わせておきましょう。

不動産取得税

不動産を取得したときには、原則として不動産取得税が課されます。
不動産取得税は都道府県税となっていて、住宅として購入したときには軽減や免除を受けられる場合があります。
不動産取得税は住宅用の場合、土地や建物の固定資産税評価額の3%の税率で課税されます。
ただし、土地は固定資産税評価額の1/2が課税標準額になり、一定の条件を満たす建物を取得した場合には取得税の減免を受けることができます。
減免の特例をうけるためには都道府県税事務所に期限内に申告をする必要がありますから注意しましょう。