不動産会社に売却を依頼する「媒介契約」について知ろう
- 売却
不動産を売却しようとするとき、自分で購入希望者を探すことも不可能ではありません。
しかし、広い範囲で購入希望者を探すことが難しく、さらに契約手続きには複雑なことが多いため、通常は不動産会社に売却仲介を依頼します。
売却仲介を依頼する契約には以下の3種類があります。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
この記事では、媒介契約ごとの特長や不動産会社の義務の違いについて解説します。
媒介契約とは
媒介契約とは、売却の仲介(媒介)を不動産会社に依頼し、契約成立時に不動産会社に報酬を支払う契約のことです。
媒介契約の内容は「宅地建物取引業法」によって定められており、それぞれの特徴は以下の5点にあります。
- 自分で購入希望者を探して契約できるか
- 同時に複数の不動産会社に仲介を依頼できるか
- 契約有効期間
- レインズ(不動産指定流通機構)への登録義務の有無 ※
- 販売活動の状況報告義務の有無
※ レインズ(不動産指定流通機構)とは
全国の不動産会社がアクセスすることのできるインターネット上の不動産情報サイトのこと。このサイトに物件情報が登録されると、レインズの会員である全国の不動産会社に公開され、全国どこからでもその物件を紹介・取引することが可能になる。平成28年1月から売主は登録内容や取引状況を閲覧できるようになっており、登録情報が心配な場合は直接確認することができる。
3つの媒介契約ごとの特徴
それぞれの媒介契約について、先の5つの点に注目して特徴をみてみましょう。
一般媒介契約
一般媒介契約は、不動産会社のサポートが少ない代わりに、制限が少なく自由に売却ができる契約になっています。
自分で購入希望者を探してきた場合に、不動産会社を通さずに売買契約を締結することができます。
複数の不動産会社に販売活動を依頼できるので、販売窓口が広がるメリットがあります。
媒介契約期間に制限はないので自由に定めることができますが、一般的には3ヶ月とされています。不動産会社にレインズへの登録義務はなく、販売活動に関する報告義務もありません。
一般媒介契約には、ほかにも仲介を依頼していることや依頼している不動産会社名を明らかにしなければならない「明示型」と、複数の会社に依頼しているか、また、どこの会社に依頼しているのかを明かす必要がない「非明示型」とがあります。
専任媒介契約
専任媒介契約の場合は、販売活動を依頼する不動産会社を一社だけに特定しなければなりません。
その代わり、売主が自分で購入希望者をみつけた場合は不動産会社を通さずに売買契約をすることが可能です。契約期間は最長3ヶ月と決められています。
媒介契約を締結した翌日から、7営業日以内に物件情報をレインズに登録し、情報を公開しなければなりません。この間、依頼を受けた不動産会社は情報を独占でき、他社に先がけて販売活動ができるメリットがあるため、不動産会社は基本的に期日ギリギリに物件情報を公開します。
早く情報を公開して広く購入希望者を募りたい場合は、情報公開期限が5営業日と早い専属専任媒介契約に比べてデメリットといえるでしょう。
また、専任媒介契約には販売活動の状況を2週間に1回以上報告しなけばいけない義務があるのですが、次に説明する専属専任媒介契約では1週間に1回以上の報告が義務のため、定期報告の回数が異なることも特長のひとつです。
制限と自由度のバランスが良い契約形態で、一般媒介契約に比べ売主様への定期的な報告やレインズ掲載までの期限も設けられているため、ウィル・ビーでは基本的にこちらをおすすめしております。
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約では、その名前の通り不動産会社に「専属」で販売活動を依頼します。そのため、売主自身が購入希望者を見つけたときでも、依頼した不動産会社を媒介として売買契約を締結しなければなりません。
また、販売活動を依頼できる不動産会社は一社に制限されます。契約期間は専任媒介契約と同じく、最長3ヶ月と決められています。
販売活動の状況は1週間に1回報告を受けることが義務付けられており、専任媒介契約よりも頻繁に報告を受け取ることができます。
物件情報のレインズへの登録は、契約締結日の翌日から5営業日以内に行わなければならず、不動産会社が情報を独占できる期間は少なくなっている代わりに、最も早い日程で物件情報を広く公開することができます。
どの媒介契約を選べばよいの?
具体的にどの媒介契約を選べばよいか難しいのですが、3つの媒介契約の特徴からどのようなことが見込まれるかを紹介します。
時間がかかっても納得できる価格で売却したい場合、自分自身でも購入希望者を探したい場合、また不動産会社が競争してでも売却活動をしたいような価格や立地が好条件の場合には、一般媒介契約が向いています。
なるべく早期に確実に売却したい場合には専任媒介契約や専属専任媒介契約をした方がよいでしょう。
なお、どの媒介契約でも発生する仲介手数料に違いはありません。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
同時に依頼できる会社数 | 複数 | 1社のみ | 1社のみ |
購入希望者との直接取引 | ○ | ○ | × |
契約期間 | 規定なし ※一般的に3ヶ月以内 |
最長3ヶ月 | 最長3ヶ月 |
レインズへの登録 | 任意 | 7営業日以内 | 5営業日以内 |
販売活動の報告義務 | なし | 14日に1回以上 | 7日に1回以上 |
不動産会社から見た一般媒介契約
一般媒介契約の場合、複数の不動産会社が並行して販売活動を行うのですが、自社が売買契約を成立させなければ仲介手数料が発生しないため、自社の成果となりません。
そのため各社が競争しあった結果、早く売却できる可能性があります。
一方、売買契約を成立させた会社以外の不動産会社は、販売活動のために行った広告費や購入希望者を案内した時間などが無駄になってしまいます。そのため、売却活動のために十分な費用や時間をかけづらい一面があります。
不動産会社によっては、一般媒介契約を結んでも広告さえ出さずに熱心に販売活動をしてくれないことがないとはいえません。
一般媒介契約をするときには、広告の方法・頻度などその不動産会社が行ってくれる販売活動の内容について確認し、納得したうえで契約しましょう。
不動産会社から見た専任媒介契約・専属専任媒介契約
専任媒介契約や専属専任媒介契約では、不動産が売れれば必ず自社の利益になります。
ただし、専任媒介契約の場合は売主が自分で買主をみつけたときには仲介手数料は発生しませんが、専属専任媒介契約の場合はどんな場合でも仲介手数料が発生するという違いがあります。
一般的には、仲介手数料が約束されない一般媒介契約よりも、売買契約が成立すれば必ず手数料が約束されている専任媒介契約や専属専任媒介契約の方が、熱心に売却活動を行ってくれると言われています。
しかし、専任性が強くなれば他の不動産会社はその不動産に介入できず、売主はその不動産の販売活動に不満があっても契約期間中は他の不動産会社に販売活動を依頼できないことになります。
また、強い専任性によって売主・買主双方から手数料を受け取れるように、他の不動産会社に物件情報を渡さずに自社だけで販売活動を行う「囲い込み」がされる可能性がないとはいえません。
専任性が強くなるほど不動産会社は販売活動の状況報告を頻繁に行うことが義務となりますから、売主は反響を把握しやすくなるので安心です。
さいごに
ウィル・ビーでは、基本的には専任媒介契約をおすすめしています。報告義務と販売活動の制限のバランスが適度にとれており、近年はインターネットの普及により物件情報を業者間で共有することが簡単になったため、販売活動を一社に絞らなければいけないデメリットが小さくなっているためです。
いずれの契約形態にも良いところ・悪いところがあります。上記を読み、不動産会社の担当とよく相談して、最も自分に合った契約を選びましょう。
ウィル・ビーでは、お客様第一の販売活動を行うため、「囲い込み」は一切いたしません。あらゆる販売活動を行い、できる限り早期成約を目指します。
売却についてお困りの際は、まずはウィル・ビーにご相談ください。