契約に向けて準備をはじめよう

  • 売却

売却する不動産に購入希望者が現れて売買代金などの条件が決まれば、いよいよ売買契約を進めることになります。
この記事では売買契約のときに準備しておくもの、また、いずれ必要になるので準備しておいた方がよいものについて解説します。

必ず必要なもの

売買契約をするときに必ず必要になるものは以下のものです。

  • 印鑑
  • 本人確認書類(免許証・パスポート・保険証)
  • 収入印紙
  • 仲介手数料の半金
契約に向けて準備をはじめよう

印鑑

売買契約書に押す印鑑について法律の定めはありませんので、認印を押すことも可能です。
しかし、契約が正しく成立したことを証拠として残しておきたいときなど、不動産会社によっては実印を押すように指導されることがあります。実印を押す場合には印鑑証明書も必要になります。印鑑証明書の印影と照合することで実印である確認を行うためです。

本人確認書類

不動産会社は「犯罪収益移転防止法(犯罪による収益の移転防止に関する法律)」によって不動産取引を行うときに本人確認を行うことが義務付けられています。
そのため、運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなど本人を確認できる書類を準備しておきましょう。

収入印紙

売買契約書は通常売主と買主とで原本を持ちあうように2通作成されます。
そのうち、自分が保管する売買契約書に収入印紙を貼付して、売主・買主双方の印鑑で消印をするのが通例です。
収入印紙の額は、売買代金の額によって変わります。
なお、手付金の受け取りに領収書を発行しますが、個人で営業の範囲ではない売買であれば収入印紙を領収書に貼付する必要はありません。

売買契約書に貼付する印紙額(令和6年3月31日まで)

500万円を超え1,000万円以下 5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下 1万円
5,000万円を超え1億円以下 3万円
1億円を超え5億円以下 6万円

仲介手数料の半金

通常の不動産取引では、仲介する不動産会社に報酬として売買契約成立時に仲介手数料の半額を支払い、売買終了(決済)時に残りの半額を支払うことが通例になっています。
そのため売買契約をするときには、仲介手数料の半金を準備しておきましょう。

引渡しに向けて準備しておいた方がよいもの

以下にあげるものは売買契約のときに絶対なければならないとはいえないものの、不動産売買のゴールに向けて必要になるものです。 早めに準備しておくと手続きがスムーズに進むので安心です。

  1. 固定資産税納税通知書(固定資産税評価証明書・公課証明書)
  2. 登記事項証明書
  3. 住民票
  4. 権利書(登記済証・登記識別情報通知書)
  5. 住宅ローン返済明細書
  6. 土地測量図・境界確認書
  7. 建築確認済証および検査済証、建築設計図書
  8. マンション管理規約、使用規則など
  9. その他不動産取引の参考になる資料
引渡しに向けて準備しておいた方がよいもの

1.固定資産税納税通知書(固定資産税評価証明書・公課証明書)

毎年4月以降に自宅に宛てて郵送されてくる、固定資産税納税通知書が必要です。
不動産の所有権移転登記の登録免許税の計算や、売主と買主の固定資産税を負担する額を計算する際の資料となります。
手元にない場合、不動産会社がサービスで取得してくれる場合もあります。その場合は所有者からの委任状が必要ですから発行してあげましょう。
なお、役場・役所によっては評価証明書と公課証明書が別々に発行されることがあるので、注意してください。

2.登記事項証明書

登記事項証明書は、不動産会社に売却仲介を依頼すると査定のために既に取得していることが多いです。しかし、売主自身で売却不動産に登記されていることを確認しておくと売却がスムーズに進みます。登記事項証明書を見るときには、以下の事項に注意しましょう。

地目(土地の用途)が現況にあっているか

農地を転用して家を建てた場合などに、地目の変更がされていないことがあります。

名義人(所有者)が本人になっているか

亡くなられた方が名義人になっている場合、相続登記が必要です。

名義人の住所・氏名は現在のものとあっているか

婚姻や離婚・養子縁組によって氏名が変わり、転居によって住所が変わっていてもそのままになっていることがあります。

抵当権などが登記されたままになっていないか

借入金の返済が終わっても手続きをしなければ抵当権などが残されたままになっていることがあります。

3.住民票・戸籍謄本など

登記と現在の住所・氏名が異なっているときや、未成年者が名義人になっているときなどに必要になります。

4.権利書(登記済証・登記識別情報通知書)

売買代金を最後に受け渡すとき(決済時)に、買主に所有権移転登記をするために必要です。
権利書は、法務局が所有権などの権利取得の登記をした時に発行するもので、平成17年ごろから順次登記済証から登記識別情報通知書に切り替わっています。権利書がなくても買主への所有権移転登記はできますが、準備が必要なため早めに不動産会社に相談しましょう。

5.ローン返済明細書

売却物件に抵当権が設定してあり、現在も住宅ローンなどの借入金を返済中であれば、ローンの返済明細書を確認しておきましょう。
さらに借入先の金融機関に借入金の中途返済を申し入れて、抵当権の抹消書類を準備するように伝えておきましょう。

6.土地測量図・境界確認書

最近では不動産売買の際に、土地の確定測量を求められることが増えています。 以前に測量をしたことがあれば、土地の測量図や境界確認書などを準備しておきましょう。

7.建築確認済証および検査済証、建築設計図書

一戸建ての場合、建築確認済証や検査済証、建築設計図書などを買主に引き継いであげると、買主が建物の修繕やリフォームをするときに参考になるため喜ばれます。 準備できる場合は買主に引き継ぎましょう。

8.マンション管理規約、使用規則など

マンションの場合、ゴミ出しやペット飼育など普段の生活に直結したルールが定められています。 マンション管理組合の総会議事録などが保管されていれば買主に引き継ぎましょう。

9.その他不動産取引の参考になる資料

その他、下記のような不動産取引の参考になる資料があれば買主に提供してあげましょう。

  • 耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書など
  • 地盤調査報告書・地歴調査書
  • 住宅性能評価書・既存住宅性能評価書など

本人が契約に立ち会わないとき

本人が売買契約に立ち会わないときは、通常は以下のものが必要です。

  • 本人からの委任状
  • 本人の印鑑証明書
  • 本人の住民票
  • 代理人の実印と印鑑証明書
  • 売主本人と代理人の本人確認書類
本人が契約に立ち会わないとき

委任状

委任状には決まった体裁や書式はなく、本人と代理人の名前、委任する内容、押印、日付などの記載があれば誰でも作成が可能です。しかし、委任内容を大雑把に書いてしまうと「代理人にそこまで頼んでいない」「その件は自分で決めたかった」など、後々トラブルの元になってしまいます。
特に、不動産という高額な資産をあつかう際は、委任内容を事前に細かく決め、代理人の権限が大きくなりすぎないように、司法書士と相談しながら作成しましょう。

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