付帯設備表・物件状況確認書について

  • 売却

中古の家やマンションを売却するときには「付帯設備表」「物件状況確認書」を作成するように不動産会社から依頼されます。
実はこの「付帯設備表」「物件状況確認書」は、不動産を売却したあとの責任に関わる重要な書類なのです。
この記事では、「付帯設備表」「物件状況確認書」の書き方や注意点について解説します。

付帯設備表と物件状況報告書とは

中古の家やマンションであれば、経年劣化や不具合があるのは仕方ない一面もあります。
しかし、買主からすれば、わかっている不具合についてはきちんと知った上で納得してから購入したいものです。
そこで、売主は売買対象の不動産の状態をお知らせする「物件状況確認書」と不動産に付属する動産(取り外しのできない設備など)について説明をする「付帯設備表」を提出し、購入前に買主に不具合を理解してもらおうとするのです。

付帯設備表とは

付帯設備表とは、売却する不動産に置いていく設備や家具を記載するものです。
空き家であれば問題は少ないと思われますが、現在も誰かが住んでいる建物であれば、買主からは何を置いていかれて何を残していかれるものかわかりません。 売主からすれば親切のつもりで残したものでも、買主にとっては迷惑なものもあります。
そこで、

  • 何を残していくか
  • (不具合がある場合)不具合の状態を明示すること

などが記載された書類を渡すことで、引渡した後のトラブルを防ぐのが目的です。

付帯設備表に記載される項目

付帯設備表には、おおよそ次のような項目を記入するようになっています。

主要設備

【水回り】給湯器、浴室設備、洗面設備、トイレ設備
【空調】冷暖房設備、換気機、床暖房設備

そのほかの設備

【照明】屋内照明設備
【収納】食器棚、つり棚、床下収納、下駄箱
【建具】網戸、雨戸、障子、畳、扉
【その他】テレビ、カーテンレール・カーテン、物干し、火災警報器

付帯設備表に記載される項目

物件状況報告書とは

物件状況報告書とは、売却する不動産の状態をお知らせするものです。
建物の不具合には、一見しただけではわからないものもあるため、売主が知っている不具合を買主に知らせる必要があります。
売主には「契約不適合責任」があり、買主が契約の目的を満たすことができないときに、補償する責任があります。 後日のトラブルを防ぐためには、わかっている不具合について正直に記載しておくことをおすすめします。

物件状況報告書に記載される項目

物件状況報告書には次のような事項を記入します。

雨漏りの有無

過去に雨漏りの修理をしたことがあればその時期も記入しましょう。

シロアリの被害の有無

シロアリ駆除をしたことがあればその時期、シロアリ被害による修復工事をしていればその時期も記入しましょう。

腐食の有無

雨漏りや浸水などによって腐食した箇所があれば記入します。

給排水管の故障、建物の傾斜、増改築の有無

増改築をしていればその時期、担当した工事会社がわかればその工事会社も記載しておくとよいでしょう。

火災・浸水等の被害、その他

騒音や日当たりなど近隣とのトラブルになりそうな事柄があれば記入しておきましょう。

「契約不適合責任」とは何か

契約不適合責任とは、売買契約等をしたものについて、その品質・種類・数量が契約に適合していないことで売主が負担する責任をいいます。責任の内容は以下のようになっています。

  • 追完請求
  • 代金減額請求
  • 契約解除
  • 損害賠償

従来は「瑕疵担保責任」と呼ばれていたものが、民法の改正によって「契約不適合責任」に変わり、名称とともにその責任の内容も変わっています。不明な点は不動産会社や担当の司法書士などに確認しましょう。

付帯設備表と物件状況報告書とは

不動産売却における「契約不適合」とは

不動産取引で主にトラブルの原因になるものは「品質」です。具体的には売却不動産の状態によるため、担当の不動産会社に相談しながら注意して売却を進めましょう。

土地の場合
  • 土壌汚染
  • 地下埋設物
面積の相違建物の場合
  • 経年劣化の程度
  • 雨漏り
  • シロアリ被害
  • 家屋の傾斜

責任を負う期間

買主は「不具合を知った時から1年以内」に請求しなければなりません。
しかし、売主が知っていたのに告げなかった不具合や、重大な過失があって売主が知らなかった不具合については、この限りではないとされています。
そこで、売買契約のときの「付帯設備表」「物件状況確認書」が重要になるのです。売主が知っている不具合は正直に告知し、また、できる限り不具合は売却前に発見しておくことが大切です。

任意規定

契約不適合責任は「任意規定」のため、売主と買主との間で合意できれば責任を免れることができます。 売主が責任を負う期間や、あらかじめわかっている箇所については責任を負わないというように責任の範囲を限定することが可能です。
中古住宅であれば何らかの不具合はつきもののため、「付帯設備表」「物件状況確認書」に記載して買主に納得してもらったうえで契約をすること、責任の範囲を明確に売買契約書に記載しておくことが重要です。

責任を負う期間

売主が注意しておくこと

「付帯設備表」を作成するにあたり、売主に特に注意してもらいたいことは次のとおりです。

動作確認をする

不動産を引渡した後のトラブルを防ぐためには、正確に付帯設備表を記載しておかなければなりません。
そのため、付帯設備表を作成する前に設備などの動作チェックを行いましょう。
住んでいると慣れてしまい、不具合だと気づけない場合もあるため、動作チェックの際には不動産会社の担当者などの第三者に立ち会ってもらうと安心です

撤去できるものは撤去する

設備や家具家電など、物件に残すものはなるべく少なくしておきましょう。残しておくとトラブルのもとになる可能性があります。
撤去費用がかかるので撤去に迷ってしまう場合、買主が使えそうなものであれば、買主に相談して「残してよい」と同意をもらえば残してもかまいません。 その場合、わかっている不具合を明確に示し書面に残しておくと安心です。

経年劣化を明示する

売主が大事に使用してきた設備でも、年数が経っていれば劣化はあります。 本人が気にならないようなキズや汚れでも、他人には気になるものです。 付帯設備表には「経年劣化があること」「多少のキズや汚れは免除いただきたいこと」など、経年による劣化があることを明示しておくと安心です。

保証期間

いつまで経っても引渡した不動産の設備について責任を負うのは大変です。 付帯設備の保証期間は、1週間とすることが多いようです。 売主が付帯設備について責任を負う保証期間を明記しておくように注意しましょう。

特定保守製品に注意

特定保守製品とは、所有者自身による保守管理が難しい製品かつ、経年劣化により火災や死亡事故などの重大事故をおこすおそれがある製品のことをいい、現在は次の2つが指定されています。

  • 石油給湯機
  • 石油風呂釜

売却物件にこれらが含まれているときは、付帯設備表に記載して「特定保守製品」と記載しておきます。
買主には特定保守製品であることから以下のことを伝えておきましょう。

  • メーカーが定めた点検期間に点検の必要があること
  • メーカーの点検を受けるために所有者情報の提供(所有者登録・変更)が必要なこと
  • メーカーへの連絡先が製品に表示されていること

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