はじめての賃貸管理〜広告費(AD)とは?活用方法とメリットを解説〜
- 賃貸管理
ADとは「Advertisement」の略で広告費のことを指します。しかし、いったい何の広告なのでしょうか?また、誰が誰に対して支払う費用なのでしょうか?
今回は、広告費の全体像から具体的な活用方法までを解説します。
広告費(AD)とは?
広告費とは、賃貸オーナーが不動産会社に支払う費用のことです。
これを聞いて「オーナーは不動産会社に仲介手数料を払っているじゃないか」と感じた人もいるでしょう。
広告費を理解するには、仲介手数料との区別が必要です。
仲介手数料とは、不動産会社が受け取る賃貸契約が成立した際の報酬です。消費税を除いた家賃の0.55ヵ月分を貸主と借主からそれぞれ受け取ることができます。つまり、合計で家賃の1.1ヵ月分です。
ただし、依頼者の承諾を得ている場合は1.1ヵ月分の上限内において、貸主と借主の負担割合を変更することができます。
以上が仲介手数料ですが、広告費はこちらと切り離して考えます。
不動産会社が受け取る報酬は、家賃の1.1ヶ月分の上限を超えてはいけません。しかし「依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額については、この限りでない」と国土交通省によって定められています。したがって、仲介手数料とは別に、物件の広告を行ってもらうためにオーナーが支払う費用を広告費と呼びます。ちなみに、仲介手数料と違い広告費には法的な上限はありません。
オーナーにとってのメリットは?
では、広告費を設定することで賃貸オーナーにとってはどのようなメリットがあるのでしょうか?
そのメリットとは、ずばり不動産会社が積極的に物件を紹介してくれるようになり、空室が早く埋まる可能性があることです。
特に、近隣に同じような条件の物件がたくさんある場合は、広告費をつけることで不動産会社が自分の物件を積極的におすすめしてくれるようになります。
オーナーとしては広告費分の支出が増えてしまいますが、広告費を1ヵ月分出すことで空室の埋まりが2ヵ月早まるのであれば、結果的に収入が1ヵ月分増えることとなります。
このように広告費を上手く活用することで、空室期間が短くなり、自分の収入を増やすことが可能です。
どんな広告の種類があるの?
ここでは、実際にどのような広告の方法があり、どのような効果が期待されるのかを紹介します。
魅力的な物件資料
物件資料とは、物件の外観・内装状態・賃貸条件などが記載されている、お客様に見せるための資料です。
通常であれば、必要最低限の写真や情報を載せて終わりというパターンが多いですが、広告費を出すことで物件資料の作成に力を入れてもらえることがあります。
たとえば、物件の写真を画質のいい広角レンズのカメラで撮影し、おしゃれに見せてくれたり、周辺情報や街のようすなどを資料としてまとめてもらえたりなどです。
お客様目線で考えると、きれいな写真で撮られている物件の方が興味を持つ確率も高くなりますし、物件だけではなく周辺環境の情報を知ることで安心感を得ることができます。
さまざまなポータルサイトへの掲載
広告費を出すことで、業者間のサイトや店舗だけでなく、SUUMOやアットホームのようなポータルサイトに掲載してもらえることもあります。
SUUMOやアットホームなどのポータルサイトに物件を登録するためには費用がかかります。さらに、トップページなど目立つ部分に掲載してもらうには、別途費用が必要になります。
そこで、広告費を不動産会社に支払うことで、ポータルサイトへの掲載を行ってもらうことで、より幅広いお客様の目に留まる効果を期待できます。
雑誌や新聞などの媒体広告
最近はWeb広告も多いですが、新聞や雑誌を購読している人の数もまだまだ多く、有効な広告媒体です。新聞であれば物件の地域に即した新聞会社、雑誌であれば紹介したい客層が読む雑誌などターゲティングしやすいのも特徴です。
幅広い層にアプローチできる手段なので、ふだん不動産に興味をもっていない潜在的なお客様からの問い合わせにつながる可能性が考えられます。
広告費の相場は?
では、広告費はいくらに設定することが多いのでしょうか?
広告費には法律上の制限はないものの、家賃1ヵ月分の金額を設定することが多いです。
ただし、広告費はあとから変更することもできるため、繁忙期は少なくし閑散期は費用を増やして他と差別化をはかるといった手段も可能です。また、内見の依頼が長期間ないときなども、広告費を設定して露出を増やすことが有効な場合もあります。
まとめ
今回は広告費について解説しました。誰もがスマホやインターネット広告で手軽に物件情報を見ることができ、多くの情報があふれているなか、自分の物件を見つけてもらうのは簡単なことではありません。
広告費をうまく活用することで、不動産会社に積極的に物件を紹介してもらい、早く空室を埋める工夫をしていきましょう。